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ライブレポート/サザンオールスターズ

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ありがとうサザン!
夜空にこだました7万人のシンガロング

--真夏の大感謝祭30周年記念LIVE 2008年8月17日@横浜日産スタジアム--


8月16日、17日、23日、24日の4日間、日産スタジアムに約30万人を集めたサザンオールスターズ真夏の大感謝祭。無期限の活動休止を前に行なわれたスペシャル・ライブの2日目に足を運んだ。

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最初から言ってしまうと、とにかく超こってりのライブだった。全46曲。これでもかと演奏された珠玉のサザン・ナンバー。実際のところ、30年の歴史の中からどれを選ぶのか、ファンが最も気になった点だが、それはそのまま桑田佳祐の悩みでもあったろう。一体どれを歌えばいいのか?と。

しかし、オフィシャルサイトにおけるリクエスト投票をもって、それを解決する一助としたようだ。ここで、文末のセットリストに目を転じてほしい。決してリクエスト上位(結果は順次スクリーンに表示された)の曲ばかりではなかったが、聴きたいなあと思う曲の最大公約数。それは誰しもが感じることだろう。

とはいってもファンとは勝手なもので、特定の曲が特定の想い出と結びついているから、あれを聴きたかった、なんであれをやらなかったのだと、ほぞを噛んだ人も多数いるに違いない。そもそもサザンとは、曲と想い出が結びつくバンドの最高峰なのだから。つまりはそれが国民的バンドの証なのだから。

実際のところ、この日集った約7万人の大半がしたことといえば、シンガロングし、あの日を思い出す、という行為だったのではないだろうか。


ライブは開演時間の18時ジャストに始まった。思いがけない強い雨。この日は、北京オリンピック女子マラソンが行なわれた日だが、猛暑の中を走るものと思っていたら、突然の低気温に拍子抜けした選手たちと同じような気持ちでステージに目を向けた。アリーナには合羽を着た大観衆が異様な盛り上がりを見せている。ギルドのアコギをぶら下げてステージに現われた桑田の第一声は“行きますか!”だった。

「YOU」が始まった。ステージ両脇の巨大スクリーンには、ステージの映像とともに、演奏されている曲の歌詞が映し出される。ファンはステージを見に来ているだけでなく、歌いに来ているのだということをよく知っている。つまりはサザン・メドレーの“生オケ”を味わえるのである。実際にこれはありがたい演出だっただろう。

「LOVE AFFAIR〜秘密のデート〜」まで一気に駆け抜けて、桑田がMC。“雨男でごめんなさい”と謝ったあと、“今日のライブのコンセプトはいつもどおりのサザンです”と強調した。ただし“サバイバル・ショーですから、休み休みやりましょう”と付け加えた。

間髪入れずにライブは再開。“しばらく会えなくなるかもしれないので、まぶたにしっかり焼きつけといて”と前置きをして、“青山通りから鎌倉まで”と題したロング・メドレーが始まった。「女呼んでブギ」から「メロディ(Melody)」までの21曲、圧倒的な構成力で一気に聴かせた。

すごい、とにかくすごい。桑田もすごいがバンドもすごい。一心同体、以心伝心の演奏だった。

桑田がメインで使っていたギターは、お馴染みPGMのテレキャスター・タイプで、サポートの斎藤誠はテレキャスター・シンラインやPRSだった。「ラチエン通りのシスター」で聴かせた斎藤のギター・ソロは、完コピ。最後に桑田のギターがハモってオリジナル通りに再現したのが印象的だった。

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すべて1コーラスか2コーラスだったが、ボリューム感たっぷりで、見ているほうはお腹いっぱい。

メドレーが終わる頃には雨もやんだ。“みなさん雨上がりましたよ!”と桑田が雄叫びを上げる。恒例の“スタンド〜、アリーナ〜!”の呼びかけをやって、“だから長いって言ったでしょ”と言い放つ。沸き返る会場。“これが30年の重みです。また自信を持ってみなさんに聴いていただけるような作品を作ることができましたら帰ってきます”とやってからメンバー紹介。

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そして次のノンストップ・メドレーが始まる。途中、また強い雨が降り出した。中盤はサブステージでアンプラグド・セットも聴かせ(30〜32)、メインステージに戻って「I AM YOUR SINGER」を歌い終わった時、ステージ後方に“We will be seeing you again soon”の文字が光を放った。

終盤はお馴染みの“エロソング”集で固めた。バンドも客席も、我を忘れて曲に集中していた。最後の最後はハードロック・バンドかと思うような激しいパフォーマンスで、燃焼しきって本編を終えた。

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メドレー第二弾は怒濤の18曲。ギター的に印象に残ったのは「ロックンロール・スーパーマン〜Rock'n Roll Superman〜」だ。斎藤が聴かせたジョージ・ハリスンゆずりのスライドがカッコよかった。

そしてバンドはあっさりと退場。すぐに凄まじい拍手に呼び戻される。アンコールに相応しい4曲。ファン投票で7位に選出されたという「Ya Ya (あの時代〈とき〉を忘れない)」がラストを飾った。

鳴りやまない拍手の中でメンバーそれぞれからメッセージが発せられた。原坊のメッセージに心が和む(これがないとサザンじゃないのだ)。桑田の最後の言葉は“30年ありがとう。終わるつもりはありません。サザンとしてはしばしのお別れです。また帰ってきます。ひとりひとり未来の扉を開きましょう”だった。

最前から宣言されていた無期限活動休止という言葉が一人歩きし、すわ解散かという空気もファンの間には流れていたわけだが、ライブ全体を通して観てみれば、要所要所に“解散ではない”というメッセージが強く刻まれていたことになる。実際、そう遠くない未来に戻ってくるのだろうと感じた。となれば、ファンとしては“ありがとう”と送り出すしかないではないか。

バンドが感謝する以上にファンは感謝している。それがここに集った人の偽らざる思いだろう。サザンのいない30年を想像してみよう。桑田のいない30年を想像してみよう。生まれるはずのドラマは生まれず、生まれるはずの恋も生まれず、生まれるはずの命も生まれなかっただろう。そんなのは不毛である。2008年の日本、国民的歌手(ギターも弾く)とは誰か。それは桑田佳祐であると確信した夜だった。

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文:野口広之(ギター・マガジン編集長)
撮影:岸田哲平、宮下 潤


【SET LIST】

1.YOU
2.ミス・ブランニュー・デイ(MISS BRAND-NEW DAY)
3.LOVE AFFAIR〜秘密のデート〜

MC

4.女呼んでブギ
5.いとしのフィート
6.お願いD.J.
7.奥歯を食いしばれ
8.ラチエン通りのシスター
9.TO YOU
10.C調言葉に御用心
11.働けロック・バンド(Workin’for T.V.)
12.松田の子守唄
13.Hello My Love
14.朝方ムーンライト
15.思い出のスター・ダスト
16.夏をあきらめて
17.Oh! クラウディア
18.東京シャッフル
19.そんなヒロシに騙されて
20.あっという間の夢のTONIGHT
21.メリケン情緒は涙のカラー
22.顔
23.Bye Bye My Love(U are the one)
24.メロディ(Melody)

MC

25.愛の言霊〜Spiritual Message〜
26.シュラバ★ラ★バンバ SHULABA-LA-BAMBA
27.爆笑アイランド
28.ごめんよ僕が馬鹿だった
29.ロックンロール・スーパーマン 〜Rockn Roll Superman〜
30.涙のキッス
31.チャコの海岸物語
32.夕陽に別れを告げて
33.いとしのエリー
34.真夏の果実
35.TSUNAMI
36.I AM YOUR SINGER
37.希望の轍
38.OH!! SUMMER QUEEN 〜夏の女王様〜
39.エロティカ・セブン EROTICA SEVEN
40.HOTEL PACIFIC
41.ボディ・スペシャルII(BODY SPECIAL)
42.マンピーのG★SPOT

ENCORE

43.夕方HOLD ON ME
44.みんなのうた
45.勝手にシンドバッド
46.Ya Ya(あの時代〈とき〉を忘れない)


[サザンオールスターズ] 公式サイト