コラム/セミナー > 加茂フミヨシ式 一歩先を行くギター・トレーニング
著者たちの語らい--宮脇俊郎&加茂フミヨシ(1)
【宮脇俊郎 プロフィール】
1965年兵庫県生まれ。23歳頃からプロ・ギタリストとしてセッション活動を開始。『究極のギター練習帳』『究極のプレイ・フォーム』など、教則本/映像を多数手がける超売れっ子講師でもある。東京・練馬区にて自身のギタースクールを開講中。
【宮脇俊郎 公式サイト】
加茂:宮脇さんは、吹奏楽をやってたんですよね?
宮脇:ええ、高校の部活で。音楽的な原体験としては、小学校3年か4年のときに、バックマン・ターナー・オーバードライブっていうカナディアン・ロックバンドがあって、それの『四輪駆動』っていうアルバムがね……知ってます?バックマン・ターナー… 略してBTOって言うんですけどね。生まれて初めて買ってもらったLPレコードが、それ。ハードロックなんて聴いてなかったんですよ、でもなぜかその BTOで。
加茂:友達の影響ですか?
宮脇:いえ、全然違うんです。ウチのお母さんが、「これ流行っとるみたいやから…」って(笑)
加茂:そんなんですか(笑)
宮脇:そうなんです(笑)。それから、小学校の頃に、知り合いの人……藤沢さんっていうお兄さんなんですけど、ヤマハのSGを持っていて、ギターを趣味にしている人がいました。その人の家に行くと、世良公則&ツイストの「燃えろいい女」を弾いていたりして……自分は弾かなかったわけですけど、エレキってこういうもんなんだーって思ったりしましたね。
加茂:小学校ですよね?
宮脇:小学校4、5年ですかね。初めてこういう音楽に触れたのは。そのあとに聴くビートルズなどとは全然離れたところにあるBTOを最初に聴いていたんですね、なぜか。
加茂:お母さん、洋楽好きだったんですか?
宮脇:母はいつも、サイモン&ガーファンクルを聴いていましたね。
加茂:楽器もやっていたり?
宮脇:母は合唱団に入っていました、婦人合唱団。で、家には足踏みオルガンがありましたね。僕の1つ年上の兄も音楽好きで。そういえば僕が小学校6年のとき、兄貴が、『ビートルズがやってくる ヤァ!ヤァ!ヤァ!』って映画の、日本語吹き替え版をテレビでやるから、録っておいてくれ、と。
加茂:録画しておいてくれ、と。
宮脇:いや……その頃はラジカセが流行していた時代でね。

加茂:ええっ?音声?
宮脇:そうですよ、家庭用ビデオなんてまだないですよ(笑)
加茂:ああー、そうか!
宮脇:だから、テレビにラジカセつないで、カセットテープに音声を録るんですよ。
加茂:(驚愕!)
宮脇:兄貴は中学でバレー部に入っていたので、部活があって観られない。だけどそれをぜひ聴きたいので、録音しておいてくれ、というわけです。それでたしかTDKのカセットに録音したんですよ、しかも日本語吹き替え版。すっごい笑える話ですよね。

加茂:(爆笑!)
宮脇:僕はその映画の中の「恋する二人」っていうハーモニカの入った曲が気に入って、それを…何回聴いたただろう?…たぶん200回くらい聴きましたよ。それに、その映画のセリフを全部覚えてました。しかも日本語吹き替えのセリフを(笑)
加茂:(大爆笑!!)
宮脇:それがビートルズの初めての体験で、「すっごいなぁビートルズ」と思って。それからお小遣いをもらっては……1週間に1回、500~600円くらいもらっていて、それでドーナツ盤のビートルズのシングル盤を買っていました。自転車で30分くらい離れたところに楽器店があって、そこに1週間に1回行っては1枚買って、帰ってきて聴くという生活。
加茂:へぇ~。
宮脇:そのシングル盤も30枚以上にはなりましたね。そうやってビートルズを知っていったんです。
加茂:すごいな。普通、小学生ってそんなことしなくないですか? ファミコンやったりとかじゃないですかね?
宮脇:いや、ファミコンまだないですから(笑)
加茂:ああ、そうか、その時代……じゃぁ、友達同士で野球とかは?
宮脇:ええ、ウチは農村地帯だったんで、田圃の中で草野球をやるというようなことはありましたね。それでもね、中学校になった頃に、あれですよ、ニューミュージックが流行るわけですよ。
加茂:ああ、ブームでしたね。
宮脇:八神純子とかね、中島みゆきとか、さだまさしとかね、あのへんを録音してテープで編集するっていうのが流行ったんですよ。
加茂:ああ、オリジナル編集テープ。
宮脇:そうそう。あとYMOが出てきたりした時代です。すっごい田舎だったんで、僕の中学時代にギターを弾いていた人はいないんですよ。
加茂:フォークギターも?
宮脇:フォークもいなかった。
加茂:そうなんだ。
宮脇:しかも、僕の中学校は、全生徒“丸刈り”。
加茂:ああああー!でもそれはウチの学校と一緒!
宮脇:じゃ、その雰囲気、わかりますよね?(笑)
加茂:わかります、わかります(笑)
宮脇:しかも、普通中学校ってブラバンあるじゃないですか。それなのに、中学校に文化部がひとつもなかったんですよ。すべて体育系。
加茂:そりゃ珍しいですね。
宮脇:そう、そんな田舎にいて、ビートルズとニューミュージックは聴いていた中学時代だったんです。
加茂:ほぉ~。
宮脇:それで今度、兄貴が高校生になって……兄貴は姫路の高校に行ったんです。姫路わかりますよね?
加茂:はいはい、姫路城のあるところですよね。
宮脇:そうです、わりと大きな都市です。その姫路の高校に兄貴が行ったら、マイケル・シェンカーをやってるやつとか、クイーンをやってるやつとかが、いきなりいるんですよ!(笑)
加茂:すごい、いきなり違うわけですね!
宮脇:そうなんですよ、それはもう、中学3年の僕から見ると、姫路の人って、めちゃくちゃ都会人に見えるわけですよ!
加茂:(こらえきれず爆笑)
宮脇:で、兄貴が高校でブラバンに入り、ベースを弾きはじめて、クイーンのコピーバンドをやりはじめたんです。僕はそのバンドの練習を見に行ったんです。そこに、かなり上手い人もいたんですよ。ブライアン・メイをそっくりに弾いてるのとか見て、こりゃすげぇと。
加茂:ちなみにそのクイーンって、初期ですか?
宮脇:「ナウ・アイム・ヒア」とか「タイ・ユア・マザー・ダウン」とか、あのへん。
加茂:ハードロックなクイーンですね。
宮脇:そうそう『ライヴ・キラーズ』の頃。で、ヤマハの焦げ茶色のアンプにね、歪まないからって、ブースター突っ込んでね(笑)
加茂:ああー、そういう感じ(感嘆)
宮脇:そう! それで公民館で練習!
加茂:(またも爆笑)
宮脇:その頃、初めて「ハイウェイ・スター」も聴きましたよ。
宮脇:僕は、BTOだけ変とはいえ(笑)……中学以降はニューミュージック系に行ったんですよ。
加茂:ああ、だからカラオケでアリス歌うんですね!
宮脇:そうそう、大好きなの。「遠くで汽笛を聞きながら」とかね。カラオケ行ったら、まずそれを歌います。
加茂:でもフォークも弾かなかったのですね?
宮脇:うん、なぜかというと、フォークギターを弾いてる奴も周囲には誰もいなかった。
加茂:ああー。
宮脇:要するに僕が中学までは、“楽器を弾く”という人があまりいなかったの。
加茂:音楽は聴くけど、プレイヤーがいないんだ。
宮脇:そう! だから兄貴が姫路の高校に行ったときに、「ああ、楽器を弾くというのはこういうことなんだ」って初めてわかったんですよ。
加茂:そうすると、お母さんとか、バンド活動に反対しませんでした?
宮脇:いや、母は合唱団やってたし、音楽をやるのはいいんじゃないかと思ってたようです。それに、いわゆる“不良”って感じはなかったですからね、時代的に。
加茂:ああ、“好きなこと”として音楽があるという感じなんですね。
宮脇:そうそう。
加茂:それで中学3年で「ハイウェイ・スター」を聴いた、と。
宮脇:うん、「なんだこの歪んだ音は!」って思いましたよ。
加茂:ああー、当時はあれが“ディストーションかかってる音”って感じだったのですね。
宮脇:そう、それ以前にディストーション・サウンド自体が少ないからね。ビートルズの「レボリューション」とかありましたけど。
加茂:ああ、でもちょっと違いますもんね。
宮脇:そう、ハードロックって違うじゃないですか。それ以前にそういう音を聴いたことがなかったから、「何なんだろう?」と思いましたね。あんまり感動した記憶はないですけど。
加茂:その最初って、リッチー・ブラックモアなんですね?
宮脇:うん。それでだんだん、リッチーの白いストラトが格好いいなと思うようになって、「高校に入学したらギターをやろう!」って思いましたね。
加茂:なるほど。

宮脇:その頃、アルバイトなんて当然できませんでしたから、自分のお小遣いの貯金と、親から少し出してもらって……で、高校の合格発表の帰り道に、アリア・プロIIのギターを買ったんですよ。
加茂:おお、アリア・プロII! 何モデルですか?
宮脇:ストラトじゃないです。スルーネックとかいろいろ出てたんですよね、その頃。
加茂:へぇ~。
宮脇:当時、フュージョンも流行り出してね。高中正義とか。兄貴もやるようになってました。
加茂:その頃、バンスコってあったんですか?
宮脇:あんまりなかったですね。でも、某YGが……(編注:宮脇氏は当社に気をつかって言明していないが、YGとは、シンコーミュージック刊の雑誌『ヤング・ギター』のこと)。

加茂:ギター譜ですね?
宮脇:そうです。『YG』のギター譜見たり。
加茂:お兄さんはどうやってコピーしてたんですか?
宮脇:耳コピーですね。でも、兄貴はそこから、なぜか別の音楽に傾倒して行ったんですけどね。クイーンは好きだったようですが、どういうわけか“ゴジラ”の音楽で有名な伊福部昭にのめり込んで……。
加茂:すげぇ!!!
宮脇:で、シンセサイザーを買い込んで。
加茂:うわぁ(感嘆)
宮脇:ゴジラの音楽なんて、当時スコアなんて出ないですからね、その伊福部昭の音楽を自分でやってましたね。
加茂:作曲家になろうとしてたんですか?
宮脇:いえ、なんだかわかんないですけど(笑)。ずーっと伊福部昭の曲を譜面に起こしてましたね。
加茂:すごーい。
宮脇:ビートルズの譜面も、その頃は“弾き語り譜”っていうのしかなくてね。今みたいにバンド譜はほとんどなかったんですよ。
加茂:タブ譜もなしですね。
宮脇:出始めって感じでしたね。
加茂:最近はタブ譜が当たり前ですからね。もうタブ譜ないと弾けないって中高生もいるほどですよね。
宮脇:ええ、そうですね。
加茂:でも、宮脇さんの時代は、そもそもそんなものがないから、タブ譜が欲しいなんていうレベルじゃないんですね。
宮脇:そうですね、タブ譜は“必ずある”ってものじゃなかったですね。
加茂:高校生になって、どんどん音楽をやっていくようになったんですか?
宮脇:僕は高校でブラバンに入って、トランペット吹くようになりました。
加茂:そうか、中学にはブラバンがなかったんですものね。
宮脇:そうです。さっきも言いましたが、体育系の部活だけなんです。ちなみに中学では卓球部でした。
加茂:ええっ!僕も卓球やってたんですよ!
宮脇:そうなんだ! ペンですか?(編注:ラケットの持ち方。ペンホルダーのこと)
加茂:ええ、ドライブで。僕、何の大会だったか忘れましたけど、東北大会ベスト16までいったんですよ。
宮脇:マジですかー! 僕はペンホルダーから途中でシェイクハンドのイボイボに変えたんですよー。裏面タキネス貼ってました(編注:ラケットに貼るラバーの種類のこと)
加茂:うわぁ(歓喜)! 卓球やりましょうよ!
宮脇:やりましょう、やりましょう!
加茂:マジでやりましょうよ!
宮脇:いいですよ! 僕は必ずラバーに水を数滴したたらせて、サランラップをこう……(動作で説明)

加茂:ああー、ありましたね、そういうの! でも僕の時代は違いますよ、“はずむ接着剤”ってのが流行ったんですよ。
宮脇:ええー?
加茂:ラバーを一回剥がして、その接着剤で付けるわけですが、その接着剤の力で玉が速くなるわけですよ。
宮脇:うわー、進化してますねー。
加茂:宮脇さんの好きな選手は誰ですか?
宮脇:当時、すごい選手がいてね。
加茂:中国人選手ですか?
宮脇:いえ、日本人。左利きの……
加茂:小野(誠治)選手かな?
宮脇:そうそう!
加茂:あとは斎藤(清)選手?
宮脇:そうです、そうです。そういった選手が活躍していましたね。

加茂:僕の時代は、中国卓球がヨーロッパに敗れた時代なんですよ。
宮脇:ああ、シェイクハンドに敗れた時代だ……。
加茂:そう!シェイクハンドの両ハンドドライブに敗れて、スウェーデンが台頭してきたんですよ。
宮脇:ああ、そうかー。
加茂:スウェーデンの卓球が一番新しい、これが最新だ!っていうのが僕にその頃インプットされて“スウェーデン”というキーワードが頭に残ったんです。いまだにストレス解消にYouTubeでスウェーデンの卓球観てるんですもん。
宮脇:マジですか?! もうぜひ卓球やりましょう。
加茂:やるやるやる! 僕、めちゃ卓球好きなんですよ!
宮脇:僕だって好きですよ! 僕なんてギターより卓球のほうが得意かもしれないですよ! ちょっと素振りやってみてくださいよ!
加茂:いいっすよ!(立ち上がって素振りを始める)
宮脇:おお! 僕はね、ちょっといいですか……(立ち上がりガタガタと椅子を動かしスペースを作る)……こうね、それで、こう(振る)、こう(振る)
加茂:ああ!はいはい!
宮脇:でね、ここで、こうスパーッと、この感じ!
加茂:おー、なるほど!
宮脇:ここで、こうドライブ!
加茂:ドライブ!!
宮脇:素人はここでこうなるけど、これはこう……
加茂:僕はね、バックスイングをあんまりとらなかったんですよ。こう…
宮脇:ほぉ~!
加茂:ここから、スッと前へ…
宮脇:あ!なるほどねっ!
加茂:例のはずむ接着剤でね、こう持っていくわけですよ。それでバックスイングをとりすぎると、それだけ時間が無駄になるという。
宮脇:はいはいはいはい。
加茂:だから、ここから……こう!
宮脇:ドライブはどう? ウチらはドライブやると格好いいってのがあったんだけど。
加茂:やるんですけど、スマッシュにドライブが混ざった感じかな?
宮脇:カットマンやった?
加茂:カットマンの戦型は僕には合いませんでしたねー。性格的に。
宮脇:ネチネチしたのだめなんだ。
加茂:もう全部スマッシュ打ちたくなっちゃう。
宮脇:サーブはこれでした?
加茂:ああ、このくらいまでですね。投げ上げやる人もいましたけど。
宮脇:こうね?
加茂:そう、こうで。
※編注:
この後、延々「こう?」「こう」「これで」「こうして」と、立ち上がった二人は動作と指示語のみでコミュニケーションし、対談原稿として書き起こすことが不可能……。
[この対談は次回に続く……(どこに行くのか?)乞うご期待!]
<前回 | 加茂フミヨシ式 一歩先を行くギター・トレーニング | 次回>
【関連記事】
宮脇氏の卓球に対する考え方が「フォーム論」で展開されているブログをぜひ見ていただきたい。こちらも必見。
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ギタリストみやちゃんの平和王国
【加茂フミヨシ・プロフィール】
超絶技巧を変幻自在に使いこなすギタリスト。スタジオワーク&セッション活動を経て、2005年に1stアルバム『GOOD WAVE』でソロ・デビュー。2006年にFender USAの全面バックアップを受け、2ndアルバム『ノスタルジア』を発表。HMV ジャズ/フュージョン・チャート3位にランクインする。また、COMRADE Recordsのレーベル・マスターやラジオ・パーソナリティーなど、ギタリストの枠にとらわれない多彩な活動を行なっている。
【加茂フミヨシ・DVD/著書】
書籍 『ひたすら弾くだけ! ギター・トレーニング』
書籍 『ひたすら弾くだけ! アコギ・トレーニング』
書籍 『速弾きがうまくなる理由 ヘタな理由』
DVD 『DVD版:ひたすら弾くだけ! ギター・トレーニング』
DVD 『DVD版:速弾きがうまくなる理由 ヘタな理由』
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『DVD版:速弾きがうまくなる理由 ヘタな理由』よりデモ演奏「幻想即興曲」と教則シーンのサンプル
- [2008年09月12日 14:56]














