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“ナンバー・ワン”には、SRVの魂が宿っている

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【第40回】スティーヴィー・レイ・ヴォーンの“ナンバー・ワン”と『テキサス・フラッド』(4)

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『テキサス・フラッド~ブルースの洪水』(amazonリンク)
スティーヴィー・レイ・ヴォーン&ダブル・トラブル

ソニー・ミュージックエンタテインメント
MHCP-636/1,785円
2005年4月6日発売(オリジナル1983年)



SRVは“ナンバー・ワン”と、74年(73年説もある)に、オースティンのレイ・ヘニングス・ハート・オブ・テキサス・ミュージック(レイズ・ミュージック・エクスチェンジと書いてある資料もあるが、同一の店と思われる)という楽器店で出会い、惚れ込んだ。

そして、それまで使っていた63年製ストラトキャスターとの交換で、これを手に入れている。


SRVは生前、このギターを59年製と言っていたが、指板の仕様(ラウンド・ボード)等からそれを疑問視する声もあった。

2004年になってアメリカのギター雑誌に、フェンダー・カスタム・ショップがこのギターを分解・分析した結果が発表され、やっと実際のところがわかるようになった(ただし、トップ・シークレットなので詳細は明かせない、ということに今ではなっているようだが……)。


ネック・デイト(ネックの根元部分に書き込まれた、そのネックが出来上がった日付)は1962年12月。

ナット幅はDサイズ。

ストラトのナット幅はA~Dサイズまであり、Bがスタンダード、Dは最もワイドだ。

太目のネックが好みだったSRVだから、このサイズに惹かれた部分も大きかったのではないかと思う。


指板はハカランダ(ブラジリアン・ローズウッド)材で、前述のとおりラウンド・ボード。

指板の貼り方には2種類あり、平らなネックの上にかまぼこ型の指板を貼ったものをスラブ・ボード、ネック自体にRをつけ、それに沿って指板を貼ったものをラウンド・ボードと呼ぶ。

一般的にスラブのほうが音が太いと言われているが、SRVの音を聴く限りは、一概にそうとは言えない気もしてしまう。


フレットはジム・ダンロップの6100というジャンボ・フレットが打たれている。

ベース用のものを使用しているという話もあって、その真偽のほどは分からないのだが、少なくとも最終的にはこのフレットになっていたようだ。


ボディは63年製で材はアルダー。

ピックガードは当初、白(白・黒・白の3プライ)で、当然、右利き用のトレモロ・ユニットがついていた。のちにピックガードを黒(黒・白・黒の3プライ)にし、そこに "SRV" とレタリング、トレモロをゴールドの左利き用に交換している。

ちなみに "SRV" の文字は消えては(削れては?)書き(貼り?)直されたため、時代によって書体が違っている。

また、ボディの左角のあたりにも“SRV”とペイントされている。


ピックアップも63年製。

SRVは、ピックアップが59年製だからこのギターは59年製だと言っていたようだが、どうやらそれは勘違いだったようだ。

ちなみにストラトのピックアップは、54年のスタート時から64年後半までは仕様に大きな変更はなく、また64年前半まではデイティング(日付の記載)もないため、59年と63年を見分けるのはかなり難しい。

また、このピックアップはリワインドされ、ワイアーの巻き数が増やされている。ただし、SRV本人はインタビューの中でストックのままと言っており、矛盾があるのだが……。


さて、年式に話を戻すと、ネックが62年12月製、ボディとピックアップが63年製ということは、ナンバー・ワンは間違いなく63年製のストラトという結論になる。


有名な“レニー”、“チャーリー”をはじめとして、彼が使ったギターは数多い。

しかし、1990年8月27日に亡くなるまで、“ナンバー・ワン”がその座を他のギターに譲ることはなかった。


“ナンバー・ワン”には、SRVの魂が宿っている。

そんな言い方が陳腐なのはわかっているつもりだ。

だが、“ナンバー・ワン”のことを想うとき、ぼくにはこの表現しかできない。

それが単なる常套句でもなければ比喩でもなく、ありのままの事実だと、ぼくは強く信じている。


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[スティーヴィー・レイ・ヴォーン - ソニー・ミュージックエンタテインメント]


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【著者プロフィール】

細川 真平(ほそかわ しんぺい)

音楽ライター。ギター誌、音楽誌、ムック等の記事を多数執筆。
ジェフ・ベック、スティーヴィー・レイヴォーン等、CDライナーノーツも多数手がける。『ギター・マガジン』では「ロック・レジェンド紳士録」を連載中。