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ピックアップ1基という潔さを貫いたギタリスト

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【第35回】マウンテンの『勝利への登攀』と、レズリー・ウェストのレス・ポールJr.(2)

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マウンテン
『勝利への登攀』(紙ジャケット仕様)(amazonリンク)

ソニー・ミュージックエンタテインメント
SICP-1779/1,890円
2008年6月25日発売(オリジナル1970年作)



レズリー・ウェストの愛器と言えば、ギブソン・レス・ポール・ジュニアをおいて他にない。

マウンテン期にはフライングVも使っていたし(ウェストから多大な影響を受けたマイケル・シェンカーのトレードマークがフライングVだったのは、偶然ではないだろう)、マウンテンのあとにはレス・ポール・カスタムを使っていたことも、スタインバーガーを使っていたこともあった。

そして今では、ディーン・ギターから彼のモデル(Leslie West USA Signature GuitarLeslie West Standard)が発売されている(オリジナル・デザインだが、レス・ポール・ジュニアに少し似ている)。


それでもやはり、ウェストと言えばレス・ポール・ジュニアだ。音の面でもルックスの面でも、それほどまでにインパクトは強かった。


レス・ポール・ジュニアは、レス・ポールが世に出てから2年後、1954年に発売になった。“ジュニア”の名前どおり、レス・ポールの廉価版と言えるだろう。

ボディはマホガニーの1ピース。レス・ポール・スタンダード(この時点では“スタンダード”という名はなく、そう呼ばれるのは60年以降だが)がマホガニー1ピース・ボディの上にメイプル材を貼り合わせた構造だったことを考えれば、かなり簡素な作りであることが分かる。

加えて、ピックアップはリア側にシングルコイルのP-90が1基のみだ。

ちなみに、このときにはまだハムバッキング・ピックアップPU-490(いわゆるP.A.F.)は開発されていない。


翌55年になって、フロント側にもP-90を搭載した、レス・ポール・スペシャルが発売される。

また、当初はシングル・カッタウェイだったジュニア/スペシャルのボディ・スタイルは、58年の半ばにダブル・カッタウェイへと移行する。

このように、ジュニア/スペシャル系は、ピックアップの数とボディ・スタイルによる区別があって、見分け方は案外面倒くさい。


最近では日本の若手ロック・ミュージシャンにもジュニア/スペシャル系はよく使われているが、たとえばサンボマスターの山口隆が使っているのはシングル・カッタウェイのスペシャル、BUMP OF CHICKENの藤原基央が使っているのはダブル・カッタウェイのスペシャル……と、ジュニアよりスペシャルが使用されることのほうが圧倒的に多い。

それはやはり、ピックアップは1基で十分、というところまでギタリストはなかなか潔くはなれない、ということがあるのだろう。


世界的・歴史的に見てもその傾向は同じで、たとえばジョン・レノンの『ライヴ・イン・ニューヨーク・シティ』のジャケットにはジュニアが写っているが、このギターにはフロント側にピックアップが増設されている(もともとチャーリー・クリスチャンのために作られたピックアップだ)。このギターは今では、埼玉県のジョン・レノン・ミュージアムで見ることができる。


マウンテン期のウェストのメイン・ギターは、シングルカッタウェイのジュニアだ。つまり、彼はピックアップ1基の潔さを(少なくともマウンテンにおいては)貫き通したギタリストだったと言っていいだろう。

他にピックアップ1基のギターを使ったギタリストというと、エディ・ヴァン・ヘイレンを思い浮かべる方も多いのではないだろうか。実は、エディもレズリー・ウェストから大きな影響を受けている。

そう考えると、ピックアップ1基というアイディアは、もとはウェストから来たものだったか。

[続く]


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ジョン・レノン
『ライヴ・イン・ニューヨーク・シティ』

EMIミュージック・ジャパン

[ジョン・レノン - EMIミュージック・ジャパン]


[ソニー・ミュージックエンタテインメント - マウンテン 紹介ページ]

[マウンテン/レズリー・ウェスト] 公式サイト(英語)


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【著者プロフィール】

細川 真平(ほそかわ しんぺい)

音楽ライター。ギター誌、音楽誌、ムック等の記事を多数執筆。
ジェフ・ベック、スティーヴィー・レイヴォーン等、CDライナーノーツも多数手がける。『ギター・マガジン』誌では「ロック・レジェンド紳士録」を連載中。