ライブレポート/DEEN
デビュー15周年記念のスペシャル・ライブat武道館
2008年6月8日・日本武道館
デビュー以来発表した全オリジナル・シングルを収録したベスト・アルバムを発表したDEENが、6月8日に一夜限りのメモリアル・ライブ“DEEN 15th Anniversary Live in 武道館〜15年分のありがとう〜”を行なった。
ライブ冒頭、ステージ両脇に設置された巨大モニターに、タイムスリップ風の映像とともに過去のシングル・ジャケットが次々に映し出され、ライブへの期待感を高めていく。キーボードのリフが鳴り、ドラム、ギター、ベースの順番で音が重なっていくと、軽い特効とともにステージを覆っていたベールが落ち「瞳そらさないで」からライブはスタートした。
我らが“巨匠”(DEENのメンバー/ファンからは、この愛称で親しまれているのだ)ギターの田川伸治は、赤いキルト・メイプル・トップが美しいガーディアンのストラト・タイプを抱え、クリーン気味のトーンで速弾きソロをクールに決める。う〜ん、うまい! 続いてはワウ・カッティングがファンキーな「レールのない空へ」。巨匠はコーラスにも大活躍で、キャッチーなアクションをつけながら軽やかにギターを奏でる。この曲ではスウィープもありのコンパクトながらもテクニカルな間奏ソロ、フュージョンライクな後奏ソロを披露するが、そういったテクニック的な部分よりも、心地よい音色のほうに耳がいってしまう。そういった“出音”も含めて、本当にうまいギタリストだと思う。
3曲目からは“武道館Special Ballad Medley”と題して、バラード・シングルをメドレー形式で披露した。冒頭「JUST ONE」では、スタンドに備え付けのアコギでサビまで引っぱり、サビからはエレキでのバンド演奏。「Teenage dream」では歌の合いの手で入るブルージィなオブリ、そして“顔で弾く”エモーショナルなメロディアス・ソロも聴きどころであった。また、モニターに各曲のプロモーション・ビデオも流され、時折登場する若い田川も見どころだったか(笑)。
メドレーが終わると、センター・ステージにメンバーが集まりアコースティック・コーナーへ。キーボードの山根公路もアコギを手にして「翼を風に乗せて〜fly away〜」を披露したあと、田川のMCへ。『笑っていいとも』風のオーディエンスとのかけ合いや、旬の(?)狩野英孝のネタを挟みつつ、DEENのオリジナル楽曲数やこれまでのライブ本数などの小ネタ・データを紹介する軽妙洒脱なトークにおもわず笑ってしまう。こういった、人柄がにじみ出た気さくな部分も彼らのライブの魅力のひとつだ。山根のMCでは、15年目にして初の武道館公演に対する感慨が語られ“15年経って立つからこそ意味がある”との言葉には会場から大きな拍手が送られた。
アコースティック・コーナーではもう一曲、スパニッシュにアレンジされた「ユートピアは見えてるのに」を演奏。田川はボディやネックを随所で叩きながら、親交のある押尾コータロー的なパーカッシブなアコギ・プレイを披露。そのプレイの幅広さを見せつけた。
生のストリングスで前奏が奏でられ、豪華な共演となった「MY LOVE」で田川が伸びやかなソロを聴かせたあとは、再びメドレーで後半戦へ。今度は“武道館Special Rock Medley”だ。力強いビートとサビのコーラスが懐かしくも心地よい「君さえいれば」でのカッティングとハーモニクスを混ぜたリフがクール。千葉ロッテマリーンズの公式イメージソングでもある、チャチャのリズムを取り入れた「ダイヤモンド」は歌バックでキレキレの単音オブリを聴かせ、甘い音色での情熱的なソロで観客を焦がす。ボーカルの池森秀一、ショルダー・キーボードを抱えた山根、そして田川の3人がセンター・ステージに集い、観客と一体感のある振り付けでまさに会場がひとつになる「STRONG SOUL」ではイントロで速弾きソロも炸裂した。
ディストーションのリフとシャープなワウ・カッティングに導かれた「Memories」のあとはドラム・ソロ、ベース・ソロ、そして田川のソロへ。ここではヴァン・ヘイレンを彷彿させるプレイで沸かせた。続く「ひとりじゃない」の冒頭では、山根がダイムバッグ・ダレル・モデルのギターを抱え登場。池森はキーボードをプレイし、バンド全体で王道ハードロック・リフを弾きながら山根主導のコール&レスポンスを行なうものの、天然なのかグダグダになっていく。爆笑を誘うこの山根フィーチャリング・コーナーも彼らのライブの見どころのひとつ(?)。ちなみに、なぜダイム・モデルかというと“ディーン”製のギターだからとか(笑)。再び生ストリングスが登場した「夢であるように」で本篇は終了。ラストの曲で田川は、雰囲気のあるボリューム奏法を入れつつロマンティックなソロを聴かせてくれた。
アンコールの冒頭、田川がアコギを抱えて登場。タッピングやボディ・ヒッティングを交えたソロを披露しつつ「Smile Blue」のイントロへ移ると歓声が上がる。バイオリン四重奏とともに奏でられた本曲では、音の立った速弾きソロもアコギで弾ききった。
アンコール2曲目はこの武道館公演用に作ったという「歌になろう」。すぐに口ずさめるわかりやすいメロディを持ったこの曲。モニターに歌詞も表示され、自然と観客からも大合唱が起こる。続く「翼を広げて」では、ロング・トーンから入った情感溢れるギター・ソロが心地よさ満点。彼のギターの音というのは、どことなく品があり心の奥にスッと入ってくる感触がある。非常に音楽的な音色(という表現も変だが)で、ずっと耳を傾けていたい魅力があるのだ。最初、ステージ上手(かみて)で弾いていた田川だったが、池森にうながされステージの中央へ。込められた想いの大きさが、その表情からもギターの音からも伝わってくる素晴らしいソロだった。そのソロに続くサビでは完全にバンドが演奏の音を止め、オーディエンスの歌声が武道館にこだまし、感動的な雰囲気を作り上げる。最後は池森がマイクを床に置き、生声で最後の一行を歌った。
ここまでで全31曲。それでも、まだ、あの曲を聴けていない。オーディエンスからは再びアンコールを求める声が起こる。その声にこたえてセンター・ステージに登場した3人から、この武道館公演を恒例にしていくという力強い宣言も飛び出し、ラストの曲「このまま君だけを奪い去りたい」をアコースティックで始める……のだが、ここでキーボードにトラブル。苦笑いしながら「ちょっと待って」と池森が演奏を止め、仕切直し。田川は流麗な3フィンガー、ハーモニクス、タッピング、高速オブリありの美しいアコギ・プレイを聴かせ、この大事な曲を届けてくれた。
3人が、今日、何度目になるかわからない感謝の気持ちを観客に伝えてステージをあとにすると、生のストリングスが「このまま君だけを奪い去りたい」のメロディを壮大に奏でる中、モニターに3人からのメッセージが流される。誠実な人柄がそのまま言葉になったメッセージは、この日会場に訪れた人々の胸をより一層温かくしてくれたことだろう。
文:中村健吾(ギター・マガジン編集部)
【SETLIST】
1. 瞳そらさないで
2. レールのない空へ
〜武道館Special Ballad Medley〜
3. JUST ONE
4. 愛の鐘が世界に響きますように…
5. 永遠をあずけてくれ
6. Teenage dream
7. Starting Over
8. 遠い空で
9. 遠いゝ未来へ
10. 君がいない夏
11. 素顔で笑っていたい
12. 哀しみの向こう側
〜Acoustic Performance〜
13. 翼を風に乗せて fly away
14. ユートピアは見えてるのに
15. MY LOVE
〜武道館Special Rock Medley〜
16. 未来のために
17. 太陽と花びら
18. Birthday eve 誰よりも早い愛の歌
19. SUNSHINE ON SUMMER TIME
20.手ごたえのない愛
21.君さえいれば
22.LOVE FOREVER
23.Power of Love
24.ダイヤモンド
25.STRONG SOUL
26.Memories
27.ひとりじゃない
28.夢であるように
--ENCORE--
29. Smile Blue
30. 歌になろう
31. 翼を広げて
32.このまま君だけを奪い去りたい
[DEEN] 公式サイト
- [2008年06月25日 15:51]

















