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ライブレポート/ROCK LEGENDS(四人囃子)

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“一触即発”のギリギリ感。4人の進歩主義者が魅せた神秘。

ROCK LEGENDS 四人囃子
2008年4月19日・JCBホール

70年代のジャパニーズ・ロックに洗礼を受けた人にとっては、このたび実現した夢のイベント“ROCK LEGENDS”は是が非でも目にしておきたかったのではないだろうか?

4月19日、20日に行なわれたこのイベントには、日本のプログレ・バンドの代表格として語られる森園勝敏率いる四人囃子、日本のブルース・ロック界を牽引し昇華させた竹田和夫率いるクリエイション、そして我らが永遠のギター・アイドル=Charがアマチュア時代に組んでいたという伝説のスモーキー・メディスンの3バンドが顔をそろえたのである。

四人囃子は4年ぶりの公演で、クリエイションも1984年の解散以来だったし、スモーキー・メディスンにいたっては34年間もの沈黙を破っての復活ライブとなった。その伝説たちの復活の瞬間をぜひ目に焼き付けておきたいと思い、水道橋にあるJCBホールに足を運んだ。

まずは19日の先陣を切った四人囃子のレポートをお届けしたいと思う。



1曲目は「なすのちゃわんやき」。プロデューサーとしても活躍している佐久間正英(b)がたて笛を操り、ひと筋縄ではいかない展開と各パートのユニゾンが印象深い、どこかコミカルな楽曲である。森園は水色のストラトキャスターを手に黙々と自分の仕事をこなしているといった感じで、正直この時点ではまだまだメンバーの体も温まっていないのか、それほど鬼気せまる様子もなく“一触即発”な雰囲気はまったく帯びていなかった。

続く「空と雲」。雨雲が広がっていくような鬱々したギター・トーンが会場を覆っていき、森園は歌い、繊細なタッチでギターをも歌わせていたが、まだまだ物足りなさを感じていた人も多いと思う。

しかし、次の「おまつり」で“レジェンド”たるゆえんを見せつけていく。イントロのフレーズを聴いた時、あまりの滑らかな音のつながりとその美しさに一瞬息を飲んだほどだ。この曲のギター・ソロの趣と言ったら。途中、ディストーションとともに激しいリズムへと様変わりする展開には思わず“おわ!”と声が漏れてしまった。



同じ楽曲内で見せるこの浮き沈みとよく歌うギター・フレーズこそが、四人囃子の真骨頂。その後のアウトロも秀逸で、森園が描くイメージが具現化されていく様子がありありと伝わり、それは決して頭で考えたフレーズではなく、本能が生み出したもののように感じた。


また、新曲「オレの犬」、75年のシングル盤「空飛ぶ円盤に弟が乗ったよ」を挟み、ミディアム・テンポのインスト曲「レディ・ヴァイオレッタ」で聴かせたエイモス・ギャレットを思わせる星くずのような珠玉のフレーズ群は、あらためて森園の懐の深さを見せつけたと思う。音程で言えば(たぶん)一音たりともハズしていないし、たとえ間違っていたとしても完璧にねじ伏せるうまさを持ち合わせていた。

続いて「カーニバルがやってくるぞ」「泳ぐなネッシー」といった怒濤の名曲で一気に畳みかけていったが、とくに後者のような奇想天外の大作をライブで試みること自体がすごいのに、それを再現しきってしまう演奏力の高さが圧巻だった。メンバーそれぞれがその楽曲を完璧に理解していないと再現不可能だろうし、しかもステージ上のメンバーがほとんど目配せなしで息の合ったプレイを聴かせるのは、ある意味不自然のようにも感じてしまうほど。それほどに難易度の高い楽曲なのだ。

空間系のエフェクトを用いた森園の叙情的な音色も心地よく、本当に深海でネッシーと遭遇しているかのような情景が目の前に広がり、言いようのない神秘性で満ち溢れていた。この演奏にはほとんどの観客が(たとえその後に登場したクリエイション目当てに訪れた人でも)完璧にノックアウトされたはずだ。



さて、ライブも終盤を迎え、「Sakuma♯1」と仮タイトルがつけられた楽曲では、レス・ポールを手にした佐久間と森園のツイン・ギターという一幕も観られたが、本篇の最後には、いよいよ四人囃子の存在を決定づけた歴史的名曲「一触即発」が放たれた。

跳ねるキーボードのフレーズと森園のエモーショナルなギターが唸ると、客席ではここ一番の歓声が起こった。この曲での森園は神がかっていたと言っていいだろう。

心の底から歌い上げるボーカルもレコード盤で聴くよりずっと魅力的で(“空がやぶけて♪”の節が何とも心に沁みるのだ)、自分の分身でもあるギターにも魂が乗り移っていったのだろうか? 抑え切れない激情にかられたといった様子で、ソリッドなカッティング、メロディアスなソロ、悲痛を叫ぶようなディストーション、コーラスの揺れ具合、ギター・ボリュームの大小(これが実に的確!)、セクションごとに選び抜かれた的確なギター・サウンド、どれを取っても理想的と呼べる完成された演奏を披露し、森園勝敏の健在ぶりをまざまざと見せつけた。


同曲の終盤に向かって聴かせたプログレッシブ・ロックならではの次から次へと襲いかかる展開とキメは、今すぐにでも壊れてしまいそうな“一触即発”のギリギリ感と脆さが見え隠れしており、観ているこちらが手に汗を握るほどのスリリングさで満ち溢れていた。



アンコールでは、ピンク・フロイドの「シンバライン」のカバーで観客を楽しませ、たしかにそのクオリティも高く素晴らしいものがあったのだが、僕個人はとにかく「一触即発」で見せつけられた圧倒的な世界観をしばらく引きずってしまった。


実は四人囃子のライブを観るのは初めてだったし、森園の演奏も何度かしか目にしたことはなかったが、レコードで聴く以上にカッコいい演奏だと感じたし、70年代初頭の日本でこんなに革新的な楽曲を生み出していたとはにわかに信じがたく、同時に同じ日本人として誇らしさを感じるほどだった。

もちろん全盛期を堪能している諸先輩方はまた違う感想を持つのかもしれない。ただ、楽曲の構成が“プログレッシブ=進歩主義者”であることに加え、“楽曲は育つ”という意味での四人囃子の演奏、グルーヴもまた“プログレッシブ”を体現していたように感じたが、いかがだろうか?


文:坂口和樹(ギター・マガジン編集部)
写真:吉浜弘之/テレビ朝日

【SETLIST】

1. なすのちゃわんやき
2. 空と雲
3. おまつり
4. オレの犬(新曲)
5. 空飛ぶ円盤に弟が乗ったよ
6. レディ・ヴァイオレッタ
7. カーニバルがやってくるぞ
8. 泳ぐなネッシー
9. Sakuma#1(新曲)
10. 一触即発

--ENCORE--
11. CYMBALINE