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ビリー・ギボンズは人にものをあげるのが好きなのか?

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【第26回】オールマン・ブラザーズ・バンド『フィルモア・イースト・ライヴ』と、デュアンのレス・ポール(3)

『フィルモア・イースト・ライヴ』でデュアン・オールマンが使った58年製レス・ポールは、非常に特徴的なルックスをしている。

ボディ色は、タバコ・サンバーストと言われる、濃いブラウンを基調にしたグラデーションだ。

ちなみにこのギターの前には、もっと赤みの強いサンバーストのレス・ポール(58年製か59年製か不明)を入手し、使用していた。デレク・アンド・ザ・ドミノスの『いとしのレイラ』で聴けるのは、そのギターのサウンドだ。


さて、タバコ・サンバーストと言ったが、以前にもこのコラムで書いたとおり、この時代のレス・ポールのボディ色にはチェリー・サンバーストと呼ばれる、赤を基調にしたものしかなかった。

当時の塗料は経年変化による退色が激しく、どの色が褪せるかで、全体の色合いが変わってくる。デュアンの58年製レス・ポールも、正しくは茶色が濃く残ったチェリー・サンバーストというのが正しい。


どうやら当時のレス・ポールの塗装工程では、トップのメイプル材に色ムラやシミがあった場合、通常より濃い色合いで塗装していたらしく、そういう塗装は茶色が濃く残る傾向があるようだ。

デュアンのレス・ポールも、そういう濃い塗装を施された1本だったのかもしれない。


もうひとつの大きな特徴は、そのトップに浮かび上がる派手なタイガー・ストライプ。ゴージャズと言えばゴージャス、だが一歩間違えれば下品にもなりそうなほどのトラ目だ。

また、ピックガードは外されている。


さて、裏にひっくり返すと、このギターがデュアンのものだとひと目で分かる特徴がある。

なんとそこには、DUANEと大きく名前が入っているのだ。

これはギターのフレット・ワイアを切って作られたものだ。誰がやったのかは分からないが、正直なところ非常に素人工作っぽい。ぼくとしては、酔っ払ったデュアンが勢いでやったものではないかと思うのだが、真相はどうなのだろうか?


このギターはもともと、クリストファー・クロスが所有していたものと言われている。クロスは1979年にデビュー・アルバム『南から来た男』で大人気を得ることになるシンガー・ソングライターだ。

彼のギターを、ZZトップのビリー・ギボンズが、デュアンのために譲り受けてきたのだという。

ギボンズは人に物を上げるのが好きなのか、のちにはスティーヴィー・レイ・ヴォーンにネックやカスタム・ギターをプレゼントしたことでも知られている。


さて、それが1971年初めごろのことだ。

『フィルモア・イースト・ライヴ』が録音されたのは同年3月12、13日。つまり、デュアンがこのレス・ポールを手に入れてから、それほど時間が経ってはいなかったということになる。

だが彼はこのときすでに、まるで自分の体の一部でもあるかのように、このギターを操っていた。

この年の10月29日、彼はオートバイ事故でこの世を去る。デュアンとこのレス・ポールとの付き合いは、そう長いものではなかった。


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オールマン・ブラザーズ・バンド
『フィルモア・イースト・ライヴ』 [Limited Edition](amazonリンク)
2008年1月23日(オリジナル1971年)発売

ユニバーサル ミュージック



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【著者プロフィール】

細川 真平(ほそかわ しんぺい)

音楽ライター。ギター誌、音楽誌、ムック等の記事を多数執筆。
ジェフ・ベック、スティーヴィー・レイヴォーン等、CDライナーノーツも多数手がける。『ギター・マガジン』誌では「ロック・レジェンド紳士録」を連載中。