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ライブレポート/X JAPAN 3月30日 ~創造の夜~

続く未来を確実に“創造”した、奇跡の4時間

開演予定時刻から25分が過ぎた頃、YOSHIKIの流麗なピアノから“創造の夜”はスタートした。

ピアノの側に立つTOSHIが「Tears」を歌い出すと、早くも会場は大合唱に。

1コーラスの終わりでステージを覆っていたベールが落ち、PATAとHEATHもステージ・セットに腰掛けながら演奏に加わって、バンドでの演奏となった。

X JAPAN 攻撃再開 2008
I.V. ~破滅に向かって~
2008年3月30日 at 東京ドーム ~創造の夜~

YOSHIKIの座るイスにTOSHIも腰を下ろし、寄り添いながら歌い演奏する様は、この失われた10年が完全に埋まったことを証明するようでもあった。

間奏ではHIDEの映像がスクリーンに現われ、PATAとの美しいツイン・リードも再現される。続く「Rusty Nail」では、ステージ上のHIDEの立ち位置にもスクリーンが用意され、5人のX JAPANでの演奏が続く。

「10年間分の愛とデッカイ真心を込めて。最後までてめぇら気合い入れていけ、コラァ!」という、まさにTOSHI印のMCをはさんで「WEEK END」。中盤ではもはやお馴染みのYOSHIKIのドラム・セットとピアノ・セットの往復プレイも飛び出した。


ここからは早くもソロ・タイム。まずはPATAが近年お気に入りの55年製レス・ポールを手にフリーにソロを弾きまくる。解散後の活動では速弾きにスポットが当たることも少ないスタイルであったPATAだが、やはりX JAPANのPATAといえば、“仏の表情で高速フレーズ”である。

PATAに続いてはHEATH。ガンガンに歪ませた強烈なディストーション・ベースで、こちらも速弾きソロを披露しながらセンターの花道を歩いていく。

黒のレス・ポール・カスタムに持ち替えたPATAが再登場しHEATHとセッションをくり広げたあとは、「HIDEの部屋」。ステージ後方の巨大スクリーンに大写しになったHIDEがインダストリアル・バージョンの「MISCAST」と「DOUBT」を歌う。PATAとHEATHも演奏に参加し、妖艶なダンサーも登場したこの光景は、1993年の再現か。


セットが変わり、TOSHI、PATA、HEATHがステージに。PATAはアコギを、TOSHIも12弦を抱えてアコースティック・コーナーとなった。ここではTOSHIが、各メンバーの現在の活動を報告したり、スタッフ/関係者への感謝の言葉、そして世界中の子供たちへのメッセージなど長めのMCを。

人柄のにじみ出たその真摯な言葉に、会場からはすすり泣きも聞こえ、まるでアンコールかのような雰囲気に包まれ、TOSHIが涙ながらに歌った「Forever Love」が、感動にさらなる拍車を加えていく。正直、個人的に「Forever Love」はそんなに好きな曲ではなかったのだが、この曲の持つ魅力を改めて思い知らされた気持ちだ。


アコースティック・セットのあと少々間を取ってYOSHIKIが薔薇の花束を持って花道を全力疾走して再登場。会場へと薔薇を投げたあとピアノ・セットへ。演奏前に手を振ったり腕をうしろに引きつけたりとウォームアップをする様が何ともかわいらしく、会場からも笑いが起こる。

流麗なしらべからTOSHIが再登場し、まさしく流れるように「Without You」へ。

ここでは、インディーズ時代からのX ~X JAPANの歴史を辿るような映像が次々と映し出される。楽しそうにおどけた様子のHIDEがクローズアップされた編集には涙、涙。正直なところ、スクリーンの中のHIDEが笑顔を見せてくれるたびに、現実世界でのその不在が胸に迫るようで悲しかったのは私だけであろうか……。


現時点でのX JAPAN最新曲「I.V.」。ここで、最初のゲスト・ギタリストが登場する。LUNA SEAのSUGIZOだ。SUGIZOがコードを弾きながら、サビのリフレインを歌う中、TOSHIは中央の、YOSHIKIは下手の花道をそれぞれ歩きオーディエンスに合唱を促す。

YOSHIKIが突如アリーナへ飛び降りて、真ん中の花道へと移動すると、会場からは大きな歓声が起こった。TOSHIとYOSHIKIが肩を組みステージに戻ってから、サビのコール&レスポンスを経て「I.V.」本篇へ。重く激しくうねるグルーヴに美しいYOSHIKIメロディが融合したこの曲では、SUGIZOが、これまた“らしい”、掻き鳴らし系のソロ・プレイで感情を高めていく。

「紅」の冒頭ストリングス・パートが流れたあと、スクリーンにはピックを口にくわえながらフィンガーピッキングでアルペジオを奏でるHIDEの姿が。まさに、その場所に彼がいるかのような錯覚。こうなれば、TOSHI の次のセリフをじっと待つしかない。

「紅だー!!!」

文句のつけようのない彼らの代表曲を再びこうして体感できようとは! すいません、、もうテンションが高まりすぎて、メモも取れないッス!

PATAは59年製のレス・ポールを手に、高速リフを刻んでいく。会場のボルテージも急カーブを描いて爆発寸前だ。曲ラストのツイン・リードもバッチリ決まると、TOSHIが「ラストいくぜー!!」。あぁ、もう本篇が終わってしまうのか!

ここで、元リンプ・ビズキットのウェス・ボーランドと、ガンズ・アンド・ローゼズのリチャード・フォータスがスペシャル・ゲストとして呼び込まれる。

映像のHIDEはもちろん、、SUGIZOも加わった5人のギタリストで「ORGASM」。まさか、この曲が出てくるとは!


ということは、アレもありですか? ということで、恒例のコール&レスポンス・パート。TOSHIの「やるときゃやれ、コラァ!!」「腹から声出せぇ!!」という往年の名MCも飛び出し、ドラムがリズム・マシンのビートに切り替わる。

来るのか? 来るのか? 4人のギタリストはステージを駆けめぐり、TOSHIも全力で観客を鼓舞。HIDEもスクリーンから観客を見つめる。

そこへ、YOSHIKI再登場! 来ました! CO2噴射! YOSHIKIも「気合い入れていけ、コラァ!」とさらに煽る。このアオリ・セクションは少なくとも10分は続いたか。

この間のTOSHIの気合いの入り方はハンパなかった。ドラを打ち鳴らし、蹴り、引きずり倒したあとでYOSHIKIがドラム・セットに戻り、スラッシュ・ビートで交響曲第9番「合唱」より第4楽章「歓喜の歌」を。SUGIZOによるスムーズなテーマ・メロディの流麗さと、激しいビートとの組み合わせが面白い。何回かテーマ・メロディをくり返したあとで、PATAのソロ・パート、そしてSUGIZOとのツイン・リードと流れて本篇は終了した。すでにお腹はいっぱいである。


アンコールの声に導かれるように巨大なミラーボールが現われると、スクリーンに大きくVIOLET UKの文字が映し出される。外国人モデルがステージを練り歩く中、PATA、SUGIZO、ウェスに外国人女性ボーカリストが登場。

インダストリアルなビートに轟音ギターのパートと、美しいアルペジオによる静寂のパートを行き交うナンバーがくり広げられた。ここではディレイを生かしたフィードバック・ギターなどSUGIZOの個性も強く出ていたように感じた。

VIOLET UKに続いて、YOSHIKIがいきなりドラム・セットに登場。チャイコフスキーの「弦楽セレナーデ」に合わせてドラム・ソロが始まる。曲が進むにつれて、ドラム・セットは上昇、回転、前方へのせり出しと動き、最終的にはアリーナの中央付近空中まで到達。驚愕の演出だ。

ドラム・セット脇に備えられたキーボードで、ドラム・セットとピアノ・ソロを交錯させる。中央の花道へ着陸したドラム・セットからはい出るようにステージへと戻ろうとするYOSHIKI。その視線の先にTOSHIが登場して「ENDLESS RAIN」をストリングスをバックに熱唱。1コーラスが終わったところでステージへと歩き出すYOSHIKIはステージでTOSHIと抱擁、ピアノ・セットへと座る。

ギター・ソロ部分からバンド演奏へと切り替わると、HIDEの映像とともに美しい名ツイン・リードが奏でられた。エンディングは会場中に響き渡るサビの大合唱。観客にメロディを任せたままメンバーが退場するも、当然ながら歌声は止まない。


こだまする「ENDLESS RAIN」を十分に堪能した頃、突如SEで「PROLOGUE(~World Anthem)」が流れ、メンバー再登場。メンバーのコールが終わると、自然と会場全体が腕をクロスさせて、その時を待つ。ゲスト・ギタリスト3名も登場し、ついにこの曲が!

「X」。やっぱり、この曲がないと終われない。まさに会場がひとつになる。

ギター・ソロでは後半のHIDEパートをSUGIZOが完璧にこなし、ツイン・リードへ。TOSHIの「We are (X)!!!」がくり返され、YOSHIKIにマイクをバトンタッチすると、渾身の力を込めて「We are !!!」を叫ぶ。

再びTOSHIにマイクを戻し、YOSHIKIがドラム・セットへと戻ると、すべてのスクリーンにHIDEが登場し、「トベ~トベ~……天井をぶちやぶっちまえぇ!!!!」……もう、涙なしにはステージを見れません!!

HIDE歴代の名場面の映像に観客はもう大爆発! ドラム・セットも上昇し、怒濤のクライマックスだ! 5万人のXジャンプで、まさにとてつもなく巨大な集合意識が形成された瞬間だった。


「X」の興奮もさめやらぬまま、「ART OF LIFE」のメイン・テーマのピアノが流れる。ステージ後方のスクリーンには「DESTRUCTION」「MADNESS」「CREATION」のこの3日間につけられたタイトルの文字が映し出されていた。

YOSHIKIがピアノ・セットに登場し、生演奏で「ART OF LIFE」のメイン・テーマをくり返すとピアノ・セットも左右に回転を始め、ふと天井を見上げれば、「ART OF LIFE」のジャケット写真で使用されていた半分骸骨のYOSHKIの顔が映し出されている。

狂気のピアノ・ソロのあとYOSHIKIがドラム・セットへ戻り、バンド演奏での「ART OF LIFE」へと突入。オリジナルは1曲で約30分という大曲で、これまでのライブでも1993年に一度しか演奏されなかった幻の曲だ。

それが目の前で再現されていることに圧倒されていると、ステージ上HIDEの立ち位置にホログラムによるHIDEの3D映像が! 会場は大歓声と涙に包まれる。“来て良かった”心からそう思えた瞬間であった。


YOSHIKIが大きなHIDE人形を抱えて登場したカーテンコール。YOSHIKIは再びマイクに「We are!」と叫んだ。もちろん観客は「X!」と答える。そこには純真に笑うYOSHIKIがいた。

終演まで約4時間。X JAPANが創造したものは、とてつもなく大きく、これからの未来につながるものであると、確信しているようでもあった。


文:『ギター・マガジン』編集部・中村健吾


『ギター・マガジン』2008年5月号の巻頭特集は、「HIDE-その視線の先に」(18ページ)。詳細はリットーミュージックホームページで。

[X JAPAN 公式サイト]