ライブレポート/X JAPAN 3月28日 ~破壊の夜~
このスリルと大きな感動。確かに歴史を刻んだ再結成第一夜
ついにこの日がやってきた。X JAPAN再結成、東京ドーム3 days。
我々ギター・マガジン編集部はそのすべてをレポートすべく、3日に分かれて参戦。
何が起きるかわからないこの歴史の節目をしっかりと目撃してきた。
まずは初日の3月28日の全容をお届けする。
X JAPAN 攻撃再開 2008
I.V. ~破滅に向かって~
2008年3月28日 at 東京ドーム ~破壊の夜~
「ギター・マガジン・ブログ」でも既報のとおり、この日は開場が2時間ほど遅れた。当然ながら、それにともない開演時間も遅れた。5万人からの人間が入場するには相当な時間がかかるわけで、広い東京ドームを見渡して、満杯になったなと思ったのは1時間半後ぐらい。
それでもファンはじっと待っている。驚くほどじっと待っている。会場内には遅れに対して怒ったり焦ったりする雰囲気はあまり感じられず、むしろこのぐらいは仕方がないだろうというムードが支配していた。容認、ただ容認、という空気。
そして始まったのは20時47分。遅延の理由については機材トラブルというのが公式発表だが、TOSHIが最初のMCで言ったのが「YOSHIKIが遅れちまったぜ!」だった。
そのあと、TOSHIはYOSHIKIに駆けより、肩を抱いて心底楽しそうに、YOSHIKIにコメントするようにマイクを向けた。そこでYOSHIKIははにかみながら大声で「てめえら!」と発したが、そのあとは言葉にならず、それを受けてTOSHIが「今のを通訳します」と言いながら、ステージに駆け下り、「今日は暴れん坊将軍でいくぜ!」と言ったのだった。
そこからは10年前と何も変わらないX JAPANだった。
「Rusty Nail」「WEEK END」。次々と熱い演奏が続く。高揚するグルーヴ。これぞX JAPANのリズムだ。髪を振り乱してドラムを叩くYOSHIKIの姿はステージの華だった。
TOSHIは往年の声を取り戻していた。のちのMCでは自虐的に「この10年は癒し系をやっていたから」と笑いをとっていたが、よくぞここへ戻ってきてくれたと言いたい。
そしてPATA。黙々とギターを弾いてリズムを固めるその姿はまさに職人のそれで、感動的ですらある。眉をひそめ、口を真一文字に引き締めて淡々と仕事をこなし、時折、リズムの節目でにこりと笑うその顔がたまらなく印象的だった。
ベースのHEATHもまた寡黙な職人の趣で、驚くほど安定したプレイでボトムを支えていた。
そして、天国に召されたはずのHIDEがそこにいた。その姿は映像で再現され、サウンドも完璧にシンクロ。バッキングにコーラス、そしてPATAとのツイン・ギター・パートも、信じられないほどの精度で再現された。
ゲストも豪華だった。「Silent Jealousy」ではLUNA SEAのSUGIZOが加わって、さらにステージの温度を上げる。感極まったYOSHIKIが演奏後に、シンバルのスタンドを振り回し、ドラムを破壊。最後にはセットの中央めがけてダイブした。凄まじいパフォーマンスだった。
ステージは暗転し、続く「HIDEの部屋」では映像とダンスの華やかなシンクロが披露され、次にはTOSHI、PATA、HEATHの3人がアコースティック・セットで登場。TOSHI自らもギターを弾き、「Say Anything」を静かに歌い始めた。このメロディにはこの声しかないという、決定的な名演。この日のハイライトは間違いなくこの曲だった。その昔、この歌とともにあった青春が走馬燈のように心の中を駆けめぐり、しみじみとした人は多かったに違いない。
その後はYOSHIKIのピアノ・ソロからHIDEのいない寂しさをメロディに乗せた「Without You」につなげる。バックに流れる映像はデビュー間もない頃からの回想ドキュメント風クリップで、若き日のメンバーの笑顔に目頭を押さえる人が会場のあちこちで見られた。
そして最新曲の「I.V.」。ステージのバックに歌詞が映し出され、会場全体でシンガロングする。次は何かと心待ちにするファンの間に響き渡ったのは、「紅」のシンセ・フレーズだった。渾身の力をこめて演奏するX JAPAN。ここでもPATAのプレイは光っていた。
そして本篇は終了。すかさず、すさまじいまでのアンコールの拍手が巻き起こる。ラストは 「ART OF LIFE」だった。完全にペースをつかんだバンドは、一体となって力の限りのパフォーマンスを披露した。そして、YOSHIKIは倒れた。スネアとタムの間にくずおれて、スタッフに抱きかかえられて運ばれる映像がスクリーンに延々と映し出され、初日は終了した。
終わってみれば、セットリストはかなり短縮され、個人的には残念だった。演奏内容がとても良かっただけに、もっと聴きたいと強く思った。これは本当に惜しい。X JAPANのライブにハプニングはつきもの、というのがファンの間の共通認識のようだが、からくもまたひとつ既成事実を作ってしまったことになる。
しかし、これぞX JAPANと誰もが感じたことだろう。このスリルと大きな感動を味わえなければ、何十年もファンをやっていた甲斐がない。
ここにはありのままのX JAPANがいた。それはとりもなおさず、HIDEも確かにここにいたということであり、不動の音楽がそこにあるということである。間違いなく歴史を刻んだ夜に立ち会った。その思いが深い。
文:『ギター・マガジン』編集長・野口広之
『ギター・マガジン』2008年5月号の巻頭特集は、「HIDE-その視線の先に」(18ページ)。詳細はリットーミュージックホームページで。
- [2008年04月12日 11:00]








