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ライブレポート/TOTO、ボズ・スキャッグス

ありそうでなかった競演、クールもホットもある長丁場の一夜


TOTOとボズ・スキャッグスの競演。ありそうでなかったこの組み合わせに日本のファンは敏感に反応した。

東京は再追加公演まで出るという盛況ぶりで、今をもってその人気が衰えていないことを証明した。

想像すれば聴こえてくるあの時代のあの音、青春の想い出の残滓とともに頭によみがえるあの熱いサウンドを体験しに、パシフィコ横浜に足を運んだ。

2008年3月22日 at パシフィコ横浜

最初から大いなる勘違いだった。どこでどう聞いたものか、ボズのバックをTOTOが務めると思いこんでいたのだが、そうではなかった。前半はボズ・スキャッグス、後半はTOTOのステージだった。それぞれが90分ほどの十分な長さで、合計では3時間を超えた。まずはボズからレポートする。




ギブソンのES-355を抱えて登場したボズ。クールなたたずまいは昔と少しも変わらない。

ライブは名曲「ローダウン」でスタートした。サポート・ギタリストは、スティーリー・ダンなどにも参加するセッションの名手ジョン・ヘリントンで、淡々と自分の役割をこなしている。ボズはギターを手放すことなく、的確なプレイを繰り出しながら、クールにクールに歌い紡いでいく。「ジョジョ」のあの有名なイントロ・リフもしっかりと自分で弾いた。

歌ももちろん素晴らしいのだが、これほどまでにギターを弾くとは知らなかったものだから、すっかりそのプレイに心を奪われてしまった。途中アコギに持ち替えたり、エレキにワウをかましたり、イナタいブルース・ギターをプレイしたりと、その腕前の確かなところを披露する。

結局ギターを弾かなかったのはお馴染み「ウィ・アー・オール・アローン」のみだった。

アンコール・ラストの「ブレイクダウン」ではスティーヴ・ルカサーが乱入。持ち前の押し出しの強さでしっかりと客を煽り、盛り上げた。総立ちの客は惜しみない拍手を送った。ボズのステージは終始クール、しかし熱い、そういう90分だった。




そしてTOTO。登場からしていきなり派手で、ルカサーのキャラを前面に出したハードなステージを展開した。

ルカサーをセンターに据えて、そのうしろにデヴィッド・ペイチ。ドラムはサイモン・フィリップス、ベースはリーランド・スクラー。ヘヴィに歪んだルカサーのギターの音が強烈で、音の壁がぐんぐん前に前に押し出されてくる感じだった。

観客は初めから総立ちで、歓喜のるつぼ。ルカサーはとにかく八面六臂の活躍で、完全にバンドを取り仕切り、空間を支配し、しゃべり踊り笑わせ、バンドを指揮する司令塔と化していた。TOTOというよりルカサー・バンドの趣である。

ルカサーのギターは昔と全然変わっていなかった。豪快な速弾き、脂っこくてくどい感じの3連フレーズ、それらを連発して会場を沸かせた。天才少年と言われたデビューの頃から完成されていたことを改めて実感する。

使用ギターは、エレアコを除けば、終始、ミュージックマンのルーク・モデルで、色違いをとっかえひっかえしていた。

「ジプシー・トレイン」、「パメラ」、「ロザーナ」など馴染み深い選曲でステージはホットに進む。そして終盤では懐かしの「ホールド・ザ・ライン」。会場の熱狂は最高潮に。

アンコールでは「アフリカ」を披露したあと、ボズを呼び込んでビートルズのカバー「ウィズ・ア・リトル・ヘルプ・フロム・マイ・フレンド」で大団円。ソウルフルなアレンジはジョー・コッカー・バージョンだった。




ボズにしろTOTOにしろ、80年代サウンドのひとつの定型を作ったアーティストで、聴いていると、それが少しも変わらずそこにあるということがわかる。それが日本のポップスに与えた影響までもが実感されるのである。

ボズのライブはリラックスして食えるざるそばのような感じだったが、TOTOはトンカツ屋で揚げ物ばかりたっぷりごちそうになった、という印象。その対比がなんとも面白い、長丁場の一夜だった。

(ギター・マガジン編集長:野口広之)


Photo:Surje(Tokyo Buenos Aires)
※写真は3月20日, JCBホール