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ライブレポート/アーク・エネミー、シャドウズ・フォール、ジョブ・フォー・ア・カウボーイ

狂獣アルバムを引っさげたアーク・エネミーのジャパン・ツアー。ブルータル・メタルがくり出す怒濤の波状攻撃!

GMオンラインでのメタル系ライブ・レポート1発目は、2008年3月7日に行なわれたアーク・エネミーの川崎公演をお届け。

ラウド・パークに2年連続で参戦するなど日本のステージを最も多く踏んでいるバンドのひとつである彼らだが、ニュー・アルバム『ライズ・オブ・ザ・タイラント』でのフル・スケール・ショーとしては今回が初めて。世界各国で好評を得たアルバムということもあり、ワクワク感も一層高まる。

2008年3月7日(金)at川崎クラブチッタ

1st act【ジョブ・フォー・ア・カウボーイ】

本ツアーのオープニングを飾るのは、昨年『ジェネシス』でデビューを飾ったアリゾナのメタル・コア、ジョブ・フォー・ア・カウボーイだ。

ヨーロッパやアメリカを中心に人気を上げ、キルスウィッチ・エンゲージらとのツアーをこなしている彼らだけに、どのようなステージを観せてくれるのか非常に楽しみである。

フル・アルバムとしてはまだ『ジェネシス』1枚のみということもあり、セットは本アルバムからが中心。基本スタイルはヘヴィ・リフで押していくというオーソドックスなコア/エクストリーム・タイプ。勢い重視の演奏はまだまだ粗いものの、その分激しさは増大して感じられる。4度型コードを多用しているのもダークさを増す大きな要因だろう。

ボーカルのジョニー・デイヴィのグロウルも粒が細かくバンドのサウンドにマッチしているが、ただ、パフォーマンスという点では正直弱く、左右に動いたり、客をあおることもほとんどなかったのは残念だ。

まだまだ上へ登っていこうという若いバンドなだけに、これからもどんどん経験を積み今後のシーンをガンガンと盛り上げてもらいたいっ。


2nd act【シャドウズ・フォール】

続いてはアメリカン・メタルで最も勢いがあると言っても過言ではないであろう、シャドウズ・フォールの登場だ。昨年リリースした新作『スレッズ・オブ・ライフ』が米ヒットチャートでTOP10に食い込むなど、知名度・勢いともに絶好調。

それは演奏にも明らかに表われている。メンバーはイントロとともに登場し、新作の1曲目でもある「リデンプション」を披露。もちろんキャリアの差はあれど、ジョブ・フォー・ア・カウボーイとは演奏力という点で圧倒的な違いを見せつけていった。

膝下まではあろうかというドレット・ヘアのブランアン・フェア(vo)はその髪を扇風機よろしく振り回し、ステージを所狭しと動き回る。絶叫しつつもしっかりとメロディを歌えるという点が彼の強みだろう。続く「ヴェノマス」でもコーラス・アンサンブルがきれいに決まり、ただヘヴィなだけではないという部分もアピールしてくれた。

デビュー時はもっとコア度の高かった彼らだが、時とともに正統メタルとも呼べるスタイルに移行していった。それはヘヴィさだけでごまかすのではなく、曲の構成力と演奏テクニックが向上した結果と判断するべきだろう。

ジョナサン・ドネイズとマシュー・バックハンドのダブル・ギターも、堅実なプレイで楽曲を支えていく。イントロからテクニカルなリックが飛び出す「ザ・ライト・ザット・ブラインズ」、ドラム・ソロからアルペジオにつなげていった「フェイリアー・オヴ・ザ・ディヴァウト」など、各曲でギラギラとしたサウンドを披露してくれた。

全体的にはやはり新作からの曲が多かったとも感じたが、ラストは「デストロイヤー・オブ・ザ・センシーズ」、「ホワット・ドライヴス・ザ・ウィーク」と、モダン・メタルを感じさせるクラシック・ナンバーでヘヴィ・リフを響き渡らせていったのだった。


Main act【アーク・エネミー】

シャドウズ・フォールのステージが終わり、場内には小さな明かりがともされた。見回せば会場はすでにオーディエンスでいっぱい、多くの人が次に出てくるバンドのシャツを着て臨戦態勢で構えている。場内が暗転すれば、ついにメイン・アクト、アーク・エネミーの登場だ。

昨年のラウド・パークにて、新作『ライズ・オブ・ザ・タイラント』はライブでより強力なエネルギーを発散すると実証済みなだけに、期待度は嫌が上にも高くなる。

そして場内が暗転……したのだが、なかなかイントロがスタートしない。どうやらメンバーのスタンバイに少々時間がかかってしまったようだ。それがまたじらしの効果で、1音も鳴らずしてフロアの熱気は目に見えて天井へ昇ってゆきクラブチッタ全体の温度を上げていく。

赤いバリライトがステージを、そして客席を照らせば、もう間もなくメンバーが出てくる合図。ドラム・セットにダニエル・アーランドソンが収まり、サイレンがけたたましく鳴り響く! 1曲目は「ブラッド・オン・ユア・ハンズ」だ!

マイケル&クリストファーのアモット兄弟によるシングル・ノート・リフが絡み、ダニエルのタイトかつ手数の多いドラミングが爆発すれば、CDでさえエキサイティングなこの曲なのだから、生のプレイを前にオーディエンスが黙っていられるわけがない。ステージ前は早くもすし詰め状態(ピットができるスペースさえなかったほどだ)、ブリッジ・パートではアンジェラ・ゴソウ(vo)の煽りに合わせ、全員が“Remember”と呼応する。

そのプリング・イントロ・フレーズを聴けば、誰もが2曲目が「レヴォナス」であることを理解しただろう。マイケルはバインディングの入った新しいESP製シグネイチャー“NINJA”を操り、スピーディでメロディアスなリフを炸裂させる。ワウを使った泣きのチョーキングは彼ならではだ。他の楽器に比べ両ギターの音量が小さいようにも感じられたが、それでもソロは分離のいいサウンドメイクのおかげでしっかりと聴き取ることができた。

クリストファーにとって、日本でのフル・ステージは2004年以来となる。『ドゥームズデイ・マシーン』でのバンド脱退以降は、ジャズやクラシックも学んでいたという彼。その経験が光ったのがセット前半に配置されたソロ・タイムでのアプローチ。クリーン~クランチのトーンにリバーブとディレイを加えたプレイは、フュージョンという表現が最も適していると思わせるものだった。

これまでも速弾きの中に兄マイケル譲りの泣きフレーズを混ぜるという構成はあったが、今回のソロは彼の新しい一面を覗かせる非常に興味深いものであった。


アーク・エネミーのライブの見どころといえば、テクニカルなプレイ、怒濤のデス・ボイス……そしてアンジェラの衣装チェンジ!(笑)

男臭いメタル界の中でアンジェラの美貌はなによりも輝かしく、毎回セクシー(いやらしく見えないところがまたいい)かつ勇ましい衣装でステージを彩るのは、まったくもって正しい個性の出し方だと思う。

本公演でも黒いショート・パンツ姿から白のロング・パンツと衣装を変えていったが、中でも心奪われたのが「バーニング・エンジェル」でのルックス。曲名のごとく真っ赤に燃えたミニのワンピース姿は、これまでのどの彼女よりもクールに見えた。「バーニング・エンジェル」でのみこの姿というのがアンジェラの美意識でありこだわりで、そのあたりが女性からも多くの支持を受けている理由なのだろう。

マイケルのソロを経て、オープニングのカウンター・メロディが印象的な「ヴァルチャーズ」をプレイし本篇の幕は閉じた。フロアからのアンコールを受け、今度はすぐさまステージがライトアップされテープ・イントロが流れる。3つ打ちのスネアがはじけ「エネミー・ウィズイン」がスタート。一度沈静化したかに思えたフロアの熱は再びすごい勢いで上昇し、巨大な渦を作りあげた。

その熱を冷ますかのようにアルペジオとチョーキングの雪が舞い落ちる……「スノー・バウンド」だ。激烈デス・メタルと叙情的なインストをまったく違和感なく融合させるのが、アーク・エネミー最大の魅力なのではないだろうか。

二度目のアンコールを1stより「フィールズ・オブ・ディゾレーション」で締めくくり、この日のステージすべてが終了した。


若い勢いを爆発させたジョブ・フォー・ア・カウボーイ、人気と実力が高みでクロスしたシャドウズ・フォール。そして毎年観ているはずなのに、そのたび鮮烈な印象を与えてくれるアーク・エネミー。

きっとすぐに彼らに会うことがかなうだろうが、その時もまた頭がチカチカするほどのヘヴィメタルを聴かせてくれるはず。そうそう、マイケルに限ってはもしかして今年、あのバンドで観れちゃうかも!


(岡見高秀/ギター・マガジン編集部)

Photo:Masayuki Noda
(写真撮影は2008年3月8日新木場スタジオコースト)


[ジョブ・フォー・ア・カウボーイ 公式サイト](英語)

[METAL BLADE RECORDS - ジョブ・フォー・ア・カウボーイ紹介ページ]

[シャドウズ・フォール 公式サイト](英語)

[トイズ・ファクトリー - シャドウズ・フォール紹介ページ]

[アーク・エネミー 公式サイト]

[トイズ・ファクトリー - アーク・エネミー紹介ページ]