コラム/セミナー > GENTLY WEEPS - ギターとアルバムを巡る物語
サンタナのヤマハSGにはブッダのインレイが施されていた

【第18回】サンタナ『アミーゴ』とヤマハSG(2)
前回書いたとおり、シングル盤「哀愁のヨーロッパ」のジャケットは、サンタナがレス・ポールを弾いている写真だった。
だからあの音はレス・ポールの音だと思い込んでいたのだが、その後しばらくして、たぶんギター雑誌でだったと思うが、サンタナがヤマハSGを弾いている写真を見た。そして、それがサンタナのメイン・ギターだということを、ぼくは知った。
世界のトップ・ギタリストが日本製のギターを使っているというだけで、子どもながらに妙に誇らしい気持ちがしたことを覚えている。
ギターはもちろんのこと、ソニーやトヨタやホンダが世界を席巻するのは、もう少しあとのことだった。
そのギターのボディには、ブッダのインレイが施されていた。それにも驚かされたし、なんとなくくすぐったいような気分だった。それから何年かして、初めてアメリカ人が美味しそうに寿司を食べる姿を見たときにも、ぼくは似たような感慨を抱いた。
ただ、今にして思えば、その数年前からサンタナは、友人のジョン・マクラフリンの影響もあってヒンズー教に傾倒するなど、宗教色を強めていた。
だからあのインレイは日本趣味ということではなく、また仏教に特定するというわけでもなく、サンタナにとっての宗教的なシンボルだったのだろう。
このギターは、ヤマハがサンタナのためにカスタム・メイドしたものだ。
ヤマハSGの歴史は古く、60年代後半にさかのぼる。だが、あの形に近づいたのは1973年からのことだ。そして、74年になってSG-175というモデルが発売される。ここに至ってやっとお馴染みのSGの原形がほぼでき上がった。
サンタナとSGの出会いも、1974年のことだ。
その年、サンタナは2回目の来日公演を行なった。このとき、ディレイを買うためにヤマハ銀座店に立ち寄ったサンタナは、ヤマハSG-175に目を留める。そして彼はこのギターを、ツアー最終日に使ったのだった。
ここから、サンタナとヤマハの付き合いが始まった。
ところで、なぜサンタナはヤマハSGに惹かれたのだろう?
これは推察の域を出ないが、それまでのサンタナの愛器と言えば、ギブソンSGとレス・ポールだった。
ギブソンSG的なダブル・カッタウェイのデザインに、レス・ポール的な重厚感……ヤマハSGは両方のギターの美点を兼ね備えていると、サンタナは感じ取ったのではあるまいか。
1975年になって、サンタナからヤマハに対して、カスタム・モデル製作の依頼が入る。ヤマハはプロジェクトを立ち上げてこれに応えた。こうしてでき上がったのが、ブッダ・インレイの施されたあのSGだった。
[続く]
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【著者プロフィール】
細川 真平(ほそかわ しんぺい)
音楽ライター。ギター誌、音楽誌、ムック等の記事を多数執筆。
ジェフ・ベック、スティーヴィー・レイヴォーン等、CDライナーノーツも多数手がける。『ギター・マガジン』誌では「ロック・レジェンド紳士録」を連載中。
- [2008年03月14日 17:45]









