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あのロング・サスティーンはいかにして生まれたか?

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【第19回】サンタナ『アミーゴ』とヤマハSG(3)

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『Amigos/アミーゴ』 サンタナ
ソニー・ミュージック
MHCP-1006
2006年6月7日(オリジナル1976年3月)発売
1,890円(米盤オリジナル紙ジャケット仕様)

カスタム・モデル製作に当たって、サンタナからアイディアや要望が出された。ヤマハのプロジェクト・チームは、それらを形にしていった。

……と言うと簡単そうに聞こえるが、きっとそこには血がにじむような努力があったのだろうし、サンタナと何度もやり取りを繰り返し、何度も作り直しがあったのだろうと思う。

では、ブッダ・インレイが施されたヤマハSGの特徴を見ていこう。


まずは重さ。

サンタナの好みに合わせて、従来のSG-175よりも重くなっている。重くするために、トップ材をメイプルからマトワに変更した。マトワという材は、サスティーンの良さが特徴だ。

また、ブリッジの下にはサスティーン・プレートが装着された。

つまり、トップのマトワ材の性質とサスティーン・プレートの相乗効果によって、「哀愁のヨーロッパ」で聴ける、あのロング・サスティーンが実現されたと思っていいだろう。

また、ボディが重いほうがサスティーンが向上するという説もある(実際には様々な要素が絡み合うので一概には言えないと思うが)。このギターの重さも、ロング・サスティーン実現に貢献しているのかもしれない。

ピックアップはヤマハ製から他のものに交換されている。ギブソンのP.A.F.という説もあったが、70年代のインタビューでサンタナは、「カリフォルニアにいる友人が作ったもの」と話している。ただし、詳細は分からない。

このギターを手渡されたとき、サンタナは感激し、「ヤマハはぼくに“愛”と“時”をプレゼントしてくれた」と言ったそうだ。“時(time)”というのは少し分かりにくい気がするが、ブッダのインレイに時を超越した普遍的なものを感じた、ということではないかと思う。


ところで、『アミーゴ』のジャケット・デザインは横尾忠則が手がけているが、ここにも同じようなものが感じられはしないだろうかか?

太くて甘いサウンドに、ロング・サスティーン。

このギターの特徴は、そのままサンタナの特徴でもあった。そして、このギターによってそれがさらに推し進められたと言ってもいいだろう。

このギターなくして「哀愁のヨーロッパ」はなかっただろうし(もしくは違うものになっていただろうし)、それはアルバム『アミーゴ』全体にも言えることではないかと思う。

低迷気味だったサンタナはこのアルバムで息を吹き返し、ヤマハは世界中から注目を浴びた。
そして、このギターの仕様は、名器SG-2000へと継承されていくことになる。

(細川真平)


[ソニー ・ミュージック - サンタナ紹介ページ]

[ソニー ・ミュージック - カルロス・サンタナ紹介ページ]


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【著者プロフィール】

細川 真平(ほそかわ しんぺい)

音楽ライター。ギター誌、音楽誌、ムック等の記事を多数執筆。
ジェフ・ベック、スティーヴィー・レイヴォーン等、CDライナーノーツも多数手がける。『ギター・マガジン』誌では「ロック・レジェンド紳士録」を連載中。