コラム/セミナー > GENTLY WEEPS - ギターとアルバムを巡る物語
「哀しみの恋人達」はテレギブだけで奏でられているのではない

【第12回】ジェフ・ベック「哀しみの恋人達」と、テレギブと呼ばれた改造ギター(3)
1974年、セイモア・ダンカンがジェフ・ベックに“テレギブ”をプレゼントしたときにレコーディング中だったのが『ブロウ・バイ・ブロウ』だ。
第2期ジェフ・ベック・グループですでにインスト曲「ディフィニットリー・メイビー」を演奏していたり、ベック・ボガート&アピスの幻に終わったセカンド・アルバムに「セロニアス」の基となったと言われるインスト曲「ジズ・フィズ」(ボックス・セット『ベッコロジー』で聴ける)が入っていたりと、ジェフが『ブロウ・バイ・ブロウ』でジャズ・ロックに真っ向から取り組んだのは、必然的な帰結のように思える。
そこには、ジョン・マクラフリン率いるマハヴィシュヌ・オーケストラの大きな影響もあった。
『ブロウ・バイ・ブロウ』のプロデューサーはジョージ・マーティンだが、ジェフは“ビートルズのプロデューサー”としてではなく、“マハヴィシュヌ・オーケストラのプロデューサー”としてのマーティンを起用した、というのが正しい言い方のはずだ。
さて、ジェフの大ファンであるダンカンが作り上げたギター、テレギブは、ジェフの生涯の代表曲のレコーディングに間に合った。
「哀しみの恋人達」を初めて聴いたとき、ダンカンは天にも昇るような気持ちを抱いたに違いない。
こうしてテレギブは、“「哀しみの恋人達」のギター”として、ロック史上永遠に語り継がれる改造ギターとなったのだ。
ところで、実は「哀しみの恋人達」はテレギブだけで奏でられているのではない。
『天才ギタリスト ジェフ・ベック(完全版)』(シンコーミュージック・エンタテインメント刊)の中で、ライターでありジェフ・ベック研究の第一人者でもある佐藤晃彦氏が、「1分54秒からの7秒間だけはおそらくストラトキャスターだ」と看破されている(現行CDのタイム表示だと1分53秒から)。
確かにここだけ音色にかなり違いがあり、この指摘には納得がいく。
ちなみに佐藤氏によると、当時は4チャンネル・レコードというものも発売されており、「哀しみの恋人達」のソロは別テイク。
そちらはテレギブだけで演奏されているという。
(細川真平)
[ジェフ・ベック 公式サイト](英語)
[セイモアダンカン 公式サイト](英語)
[セイモアダンカン - セイモア・W・ダンカン・バイオグラフィー](英語)
[ソニー ミュージック - ジョン・マクラフリン 紹介ページ]
[ソニー ミュージック - マハヴィシュヌ・オーケストラ 紹介ページ]
<前回 | GENTLY WEEPS~ギターとアルバムを巡る物語 | 次回>
【著者プロフィール】
細川 真平(ほそかわ しんぺい)
音楽ライター。ギター誌、音楽誌、ムック等の記事を多数執筆。
ジェフ・ベック、スティーヴィー・レイヴォーン等、CDライナーノーツも多数手がける。『ギター・マガジン』誌では「ロック・レジェンド紳士録」を連載中。
- [2008年02月01日 17:06]








