イベントレポート/ジミー・ペイジ来日記者会見
昨年(2007年12月10日)、一夜限りの再結成を果たし、世界的な話題をさらったレッド・ツェッペリン(以下ZEP)のジミー・ペイジが来日し、2008年1月28日、記者会見を開いた。会場に詰めかけた記者とカメラマンの数はおよそ200人。再結成ライブ後、公の場に出るのは初ということで、その関心度の高さを裏付けた。
と、いかにも記者発表的な堅苦しい文章をギター・マガジン・オンラインで書いても面白くないと思われるので、ここからはあくまでギター・マガジン的視点でレポートしていきたい。歴史的会見に列席したいち編集者の記録として読んでいただければと思う。
Photo (C)Yuki Kuroyanagi
この上なく豪華な場所……とだけ言っておこう。都内某所に設けられた会場は、異様な緊張感に包まれていた。あのジミー・ペイジが会見を開くというのだ。正装したワーナーミュージックのスタッフが総出で出入り口を固め、回りを見渡せば、軽く30年はロックを聴いてきましたと顔に書いてあるような筋金入りの猛者もいれば、明らかに昨日今日ZEPを聴き始めたといった風情の若年層もいる。知った顔もちらほら。というより、あの人もこの人も見覚えがある。皆、真剣なまなざしで壇上を注視し、今か今かとペイジの登場を待っていた。
MCの案内とともにジミー・ペイジが登場した。それはまさに「登場」だった。すすっと中央に進み、背筋を伸ばして正面を向いた。ロマンスグレイの長髪にすらりとした長身、そうあってほしいと誰もが願う格好よさでペイジはそこに立ってカメラのフラッシュを浴びていた。夢ではなかった。いま目の前にジミー・ペイジがいる。
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Photo:Guitar Magazine
短時間で撮影は打ち切られ、ペイジは席についた。今回の来日は、昨年出たベスト盤『スターシップ~レッド・ツェッペリン・ベスト』と『永遠の詩(狂熱のライヴ)』のプロモーションが目的だという。
まずは、昨年はどういう年だったかと聞かれ、『永遠の詩』について触れた。
「リマスターされたその音で、当時マディソン・スクエア・ガーデンで演奏されたステージがどのようなものだったか、知ってもらえることになった。また、再結成ライブを行なったので、活動の盛んな年だった」と一気にしゃべる。
かなり要約したが、その弁舌は意外と言っていいほど鮮やかで、堰を切ったように言葉が飛び出してくる。まさに言葉の奔流だった。
そして再結成ライブのいきさつに質問は移った。
「3人(ロバート・プラント、ジョン・ポール・ジョーンズ、ペイジ本人)でビジネス・ミーティングをしている時に、マネージャーの一人からロイヤル・アルバート・ホールで行なわれるチャリティ・イベントに出演してほしいとのオファーをもらった。リハーサルの時間がたっぷりもらえるならぜひ参加したいと答えた。僕らを知らない若い世代に知ってもらうためにもいい機会だと思ったからだ。ジェイソン・ボーナムとは以前一緒にやったことがあり、その縁で4人が集い、リハーサルを始めた。初めのうちはどういう方向に事態が転がるのかわからなかったので、秘密にしていたのだが、そのうちに成功させたいという強い思いが出てきた。主催者からは最初50分のステージをと言われていたが、できればもっと長くしてほしいとお願いした。ライブがロイヤル・アルバート・ホールでなくO2アリーナで行なわれることが新聞で報道されたので、それがますますプレッシャーとなった。しかしリハーサルに集中して、音はよりタイトになり自信もついた」とペイジは一気にしゃべる。
途中、「スリル」と「ケミストリー」を何度も繰り返していたのが印象的だった。そして大要以下のように続けた。「リハは順調で楽しかった。演奏メニューも決まって、毎週リハが楽しみだった」
しかし、好事魔多し。指を骨折したエピソードとショーが2週間延期されたエピソードを語る。
「それでも実際のショーはとても楽しかったよ。リハーサルは毎週何かしら違ういい感触を得られた。長いブランクはあったが、いいものができたと実感した」とペイジは機嫌良さそうに続けた。
以下会場からの質疑応答に移り、それに対してペイジは丁寧に答えた。印象的なものを拾ってみよう。
再結成してみて新しい何かを発見できたかという質問に対しては、「それは特にないが、自分たちがいかに素晴らしかったかは再確認した。今でも昔のアルバムを聴くと、いい曲だなとついつい聴き入ってしまう」と答え、誰もが気になる今後のツアーはあるのかという質問に対しては、「ロバート・プラントが9月まで別の仕事がある。ZEPのツアーに関しては今のところなんとも言えない」とお茶を濁した。
そして、なぜZEPの音楽は時を経ても世界中で愛されるのかというクエスチョンに対しては、「あくまで自分たちのやりたい音楽をやってきた。そういう音楽を作ってきた。それを皆が受け入れてくれたのだろう」と答えた。
この結論に行き着くまでに長い前置きがあったのだが、その中で、自分たちはAMラジオ向きではなくFM向きの音楽を作りたいと思った、という大変印象的な言葉を吐いていた。
ここでいうAMラジオとは、ヤードバーズで活躍していた60年代、いわゆる3分間ポップスがめまぐるしく入れ替わるチャート番組のことで、それよりはLPの片面をじっくりとかけてくれて音質も優れたFMのほうが自分たちの音楽には向いていたという意味である。まさに言い得て妙ではないか。
64歳のロックスター、そして我らにとってはかけがえのないギター・ヒーロー、ジミー・ペイジ。その言葉には力がみなぎり、その姿は神々しくさえあった。ペイジが再び、1958年製のギブソン・レス・ポールを引っさげて日本のステージに立つことを信じ、待とうではないか。
きっと何かが起きる。そう思わずにはいられない会見だった。
(野口広之/ギター・マガジン編集長)
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- [2008年01月29日 19:19]










