コラム/セミナー > GENTLY WEEPS - ギターとアルバムを巡る物語
チョーキング・ビブラートの圧倒的な力

【第6回】エリック・クラプトンの57年製レス・ポールと、ビートルズ『ホワイト・アルバム』(1)
ギター好きなら誰にでも、愛してやまないギター・ソロがあると思う。
ぼくにもたくさんある。その中で一番は、と訊かれると困ってしまうのだが、間違いなく一番候補のひとつが、ビートルズの『ホワイト・アルバム』(正式タイトルは『ザ・ビートルズ』)に収録されている「ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス」のギター・ソロだ。
そう、この連載コラムのタイトル『GENTLY WEEPS』も、ここから来ている。このソロをプレイしているのは、エリック・クラプトンだ。
この曲は、ジョージ・ハリスンの作詞作曲。ジョージは何度もギター・ソロにトライしたが、うまくいかなかった(テープ逆回しソロなども試みたようだ)。そこで、友人であるエリック・クラプトンをレコーディングに誘うことにした。当初、クラプトンはその誘いを信じなかったという。「これまでビートルズのレコードに参加した人など誰もいなかった」からだった。
クラプトンがこのソロを録音したのは、1968年9月6日のこと。プレイバックを聴き、クラプトンはサウンドが「ビートルズっぽくないね」と言った(「クラプトンっぽすぎる」と言ったという説もある)。そこで、録音されたソロをADT(2台のテープ・レコーダーを使い、自動的にダブル・トラックを作れる装置)に通すことに。
これはビートルズが、特にボーカル・トラックにおいて多用したエフェクトだ。このソロには、それによって独特のコーラス効果が加味された。しかし、何をどうやっても変えられない、クラプトンの強烈な個性が前面に出ているのも事実だろう。
その強烈な個性とは、ひと言で言えば「チョーキング・ビブラートの圧倒的な力」だ。
ブルース系ギタリストにとって、チョーキング・ビブラートは最高にして最大の武器だ。どんな速弾きやテクニカル・フレーズもねじ伏せてしまう力が、チョーキング・ビブラートにはある。
クラプトンが神と呼ばれ、崇め奉られてきた理由のひとつに、このチョーキング・ビブラートの見事さがあることは間違いない。そして、この「ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス」で聴けるチョーキング・ビブラートこそ、彼の一世一代のチョーキング・ビブラートだと、ぼくは確信している。
彼はこのソロを、57年製のレス・ポールでプレイしている。いろんな人の手を渡った、不思議な運命を持ったレス・ポールだ。
[続く]
[EMIミュージック・ジャパン - ザ・ビートルズ 紹介ページ]
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【著者プロフィール】
細川 真平(ほそかわ しんぺい)
音楽ライター。ギター誌、音楽誌、ムック等の記事を多数執筆。
ジェフ・ベック、スティーヴィー・レイヴォーン等、CDライナーノーツも多数手がける。『ギター・マガジン』誌では「ロック・レジェンド紳士録」を連載中。
- [2007年12月14日 18:28]








