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初期のジミが愛したサウンド

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【第2回】ジミ・ヘンドリックスの『ライヴ・アット・モンタレー』(2)

フェンダー社は1965年1月に、CBSに買収された。

そのため、65年を境に、その前をプリCBS期、その後をCBS期と呼ぶ。ストラトキャスターにとって最も大きく、最も分かりやすい変化は、ヘッドのラージ化だろう。

だが、65年というのはまだCBS仕様に変化しきっていない、いわば過渡期。ヘッドもまだスモールだ(65年がスモール・ヘッド最終年となる)。

だが、ヘッドに入るロゴは、それまでのいわゆるスパゲッティ・ロゴから、トランジション・ロゴと呼ばれる、金文字に黒縁の、太い書体のものに変わった(ただ、64年後期からこのロゴは採用されている)。トランジションというのは“過渡期”という意味で、この過渡期ロゴは68年前期まで使われる。

そして、ピックガードは材質が変わったことによって、それまでの若干のグリーンっぽさがなくなり(3プライの真ん中の黒が透けて見えなくなったため)、白さが目立つようになった。ちなみに、前者はグリーン・ガード、後者はホワイト・ガードと呼ばれ、区別される。

つまり、65年製ストラトの外見的な特徴を大ざっぱに言えば、スモール・ヘッド+トランジション・ロゴ+ホワイト・ガードということになる。ジミがモンタレーで使った65年製ストラトキャスターも、まさにこういう特徴を持っていた。

では、肝心のサウンド面での特徴はどうだろう?

これは難しい。ビンテージ・ギターは、その経年変化と保存状態によって、あまりにも個体差が激しいので、「これが何年の音だ」とは非常に言いづらいのだ。タイムマシンに乗って、各年代のギターを新品で買い集めてきて比較できれば話は別だが。

だからここでは非常に感覚的に、個人的な感想も含め、こういう傾向があるという意味で言うのだが……65年製ストラトは“ロックな音”がする。この時代のストラト・サウンドを指して「ガッツのある音」と言う人もいるが、それも感覚的には非常によくわかる。

その理由を探ってみると、ひとつはピックアップの仕様変更によるものかもしれない。65年製のピックアップは、ワイアーの材質がそれまでのフォームバーから、エナメルに変わった(また、音には関係ないと思うが、ピックアップ底部の色がそれまでのブラックからグレイに変わったので、この時期のピックアップはグレイ・ボビンと呼ばれる)。

この、ワイアーの材質変更により、それまでのどちらかと言うとブルージーなサウンドから、よりエッジの立ったサウンドに変化したのではないかと思われる。

もうひとつは、これは63年からの仕様だが、指板がラウンド・ボードであることも一因かもしれない。それ以前の、かまぼこ型の指板を平らなネック面に乗せるというやり方(スラブ・ボード)ではなく、ネック自体にRをつけ、そのRに沿って薄めの指板を貼るという方法だ。

一般的にはスラブ・ボードのほうが音が太く、甘いと言われており、62年あたりのストラトの人気が高いのも、このスラブ・ボード仕様に負うところが大きい。しかし、音の太さ・甘さの点では劣るかもしれないが、ラウンド・ボードには、切れが良く、立ち上がりが早いという特徴がある。

つまり、エナメル・ワイアーのピックアップとラウンド・ボードの組み合わせこそが、65年製ストラトの持つロックなサウンドの秘密なのではないかと思うのだ。

そして、それこそが、初期のジミが愛したサウンドだったのだと思う。

[続く]


[ジミ・ヘンドリックス 公式サイト](英語)


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【著者プロフィール】

細川 真平(ほそかわ しんぺい)

音楽ライター。ギター誌、音楽誌、ムック等の記事を多数執筆。
ジェフ・ベック、スティーヴィー・レイヴォーン等、CDライナーノーツも多数手がける。『ギター・マガジン』誌では「ロック・レジェンド紳士録」を連載中。