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ジミの『ライヴ・アット・モンタレー』と65年製ストラト

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【第1回】ジミ・ヘンドリックスの『ライヴ・アット・モンタレー』(1)

はじめに

奏でられる音楽と、それを奏でる楽器には、絶対的な結びつきがあると思う。

特にロックやブルースでは、音楽とギターは固く結びついている。いいギターを使っているからいい曲だとか、ビンテージを使っているから素晴しい演奏だとか、そういう意味ではまったくない。あるギタリストがある曲で、もしくはあるアルバムで、ある特定のギターを使ったことには、何らかの必然性があったはずだと思うのだ。

そしてまた、録音されて作品となったものを聴く立場からすれば、そのギターの音がその作品の一部となるのは間違いない。

曲というのは、歌詞とメロディと演奏だけではない。サウンドそのものも作品の大事な部分であり、切り離して考えることはできないからだ。例えばある曲のリフを頭に思い浮かべるとき、必ずそれはサウンドと渾然一体になっているはずだ。つまり、あるギターと、ある作品との結びつきというのは、アーティスト側にとっても、リスナー側にとっても、非常に重要なものだと思う。

そこでこのコラムでは、あるギターと、それが使われているアルバム(もしくは曲)を紹介しつつ、切り離すことのできないほどに固く結びついた双方の魅力について語っていきたい。そしてまた、そこでそのギターが使われた必然性とは何だったのかについても、探っていければと思っている。




第1回目は、ジミ・ヘンドリックスの『ライヴ・アット・モンタレー』と、65年製ストラトキャスターについて取り上げよう。

CD 『ライヴ・アット・モンタレー』(amazonリンク)
ジミ・ヘンドリックス





DVD 『ライヴ・アット・モンタレー』(amazonリンク)
ジミ・ヘンドリックス

UNIVERSAL INTERNATIONAL
2007年11月21日発売

ジミ・ヘンドリックスのストラトというと、ラージ・ヘッドでメイプル指板(貼りメイプル)の68年製が有名だ。ウッドストックではホワイト・ボディのものが使われたし、バンド・オブ・ジプシーズやワイト島でのブラック・ボディのものもよく知られている。つまり、「ジミ=ラージ・ヘッド+貼りメイプル」という図式が出来上がっている気がする。

それでは、あなたの好きなジミ・ヘンドリックスの曲を挙げてください、と言われたらどうだろう? 「パープル・ヘイズ」「フォクシー・レディ」「ヘイ・ジョー」「ファイアー」「マニック・ディプレッション」「ストーン・フリー」……このあたりの、初期のナンバーがいくつも挙がってくるのではないだろうか?

実は、これらはすべて、スモール・ヘッドでローズ指板のストラトキャスターでプレイされているのである。このころジミが使っていたストラトは、65年製のオリンピック・ホワイトと、63年か64年製のサンバースト。つまり、デビュー・アルバム『アー・ユー・エクスペリエンスド』で聴けるのは、この2本のうちどちらかのサウンドだと思って間違いないだろう。

さて、イギリスでデビューしたジミがアメリカに凱旋し旋風を巻き起こしたのが、今回『ライヴ・アット・モンタレー』としてリリースされる、1967年の“モンタレー・インターナショナル・ポップ・フェスティバル”だ。(これは以前にも『モンタレー・ポップ・フェスティバル・ライブ』のタイトルで発売されていた。また今回、同ライブのDVDも同時発売される)

ここでは2本のストラトキャスターが使われている。黒ボディのものと、あの有名な、ジミに火をつけられ、破壊されるサイケデリック・ペイントのものだ。このうち黒のストラトが65年製。サイケ・ペイントのものも65年説が有力だったが(フェンダー・カスタム・ショップが作ったレプリカも、65年仕様になっている)、CDのブックレットの写真をよくを見ると、スパゲッティ・ロゴなので64年以前製なのがわかる。

このライブで、メインで使われたのは65年製の黒のほうだ。全9曲のうち8曲で使われており、サイケ・ペイントのストラトは最後の「ワイルド・シング」のみでの使用だった。これははなからパフォーマンス用のギターだったと考えられなくもない。

つまり、ジミのアメリカ凱旋ライヴを彩ったのは65年製ストラトキャスターであり、そのサウンドだったと言って間違いないだろう。

では、65年製ストラトの特徴とは、どんなものだったのだろうか?

[続く]


[ジミ・ヘンドリックス 公式サイト](英語)


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【著者プロフィール】

細川 真平(ほそかわ しんぺい)

音楽ライター。ギター誌、音楽誌、ムック等の記事を多数執筆。
ジェフ・ベック、スティーヴィー・レイヴォーン等、CDライナーノーツも多数手がける。『ギター・マガジン』誌では「ロック・レジェンド紳士録」を連載中。